【防災士が解説】外水氾濫とは?“川があふれる”最もイメージしやすい水害の本当の怖さ

大雨が降ると必ず話題になる 外水氾濫(がいすいはんらん)
「川があふれて周囲が水につかる」イメージですが、
実際には 想像をはるかに超える破壊力 を持つ水害です。

防災士として、外水氾濫の仕組みと命を守る行動をわかりやすく解説します。


■ 外水氾濫とは?

外水氾濫とは…

川(河川)が大雨で増水し、堤防を越えたり破れたりして、周囲の地域に水があふれる現象。

=「川そのものがあふれて押し寄せる浸水」

最も典型的で、被害規模が大きくなりやすい氾濫です。


■ 外水氾濫が起こる仕組み

▼ ① 河川の流量が限界を超える

● 上流で大量の雨
● ダムの緊急放流
● 支流が一気に合流

→ 川のキャパを超えてしまう。

▼ ② 堤防を越える(越水)

大量の水が堤防を乗り越えて住宅地へ流れ込む。

▼ ③ 堤防が壊れる(決壊)

最も危険なケース。
一瞬で大量の水が流入し、
津波のような破壊力 を生む。


■ 外水氾濫は“スピード”が危険

● 時速30km以上で押し寄せる場合も
● 家屋が流されるほどの水圧
● 人は50cmの水で立てなくなる
● 車は30cmで動かなくなる

外水氾濫は“避難が間に合わない”事例が多いのが特徴。


■ 被害が大きくなりやすい理由

▼ ① 浸水が深い(2〜5m以上)

1階が完全に水没することも珍しくない。

▼ ② 長時間水が引かない

低地では 数日〜1週間以上 水が溜まり続ける。

▼ ③ 電気・水道が途絶えやすい

浸水 → 停電 → 断水 が同時に起こる。

▼ ④ 生活再建が非常に困難

床上浸水すると家財が全滅するだけでなく、
家屋の修復に数百万円〜数千万円かかることも。


■ 外水氾濫が起こりやすい場所

● 川沿いの低地
● 中小河川の合流点
● 本流の下流域
● 堤防の高さが低い場所
● 過去に浸水した地域
● 川がカーブしている場所
● 河川改修が進んでいない地域

自宅のリスクは ハザードマップ で必ず確認。


■ 外水氾濫の前に必ずやるべき行動

▼ ① 大雨特別警報・氾濫危険情報を必ず確認

特に「氾濫危険水位」は命に直結する情報。

▼ ② 早めの避難

避難の目安は 警戒レベル4(避難指示)

● 夜になる前
● 水位がまだ低い段階
● 車で移動できる段階

「迷ったら行く」が原則。


■ 外水氾濫発生時の命を守る行動

▼ ① 外には絶対に出ない

氾濫が発生してからの外出は非常に危険。

▼ ② 高い場所へ垂直避難

● 2階
● マンション上層階
● 頑丈な建物
→ 外水氾濫は横移動より“上へ避難”が安全。

▼ ③ 車で避難しない

深さ30cmの水で車は動かない。

▼ ④ 流木・ガレキに注意

押し寄せる水には非常に多くの漂流物が含まれる。


■ 外水氾濫に備える家庭の対策

● 家具の固定(浸水で倒れる)
● 2階に飲料水・非常食を保管
● 車は高台へ移動
● 現金・保険証・薬をまとめておく
● ペットの避難準備
● 懐中電灯・モバイルバッテリー

準備が早い人ほど助かりやすい。


■ まとめ

外水氾濫は、
“川があふれる”最も深刻な水害で、破壊力は津波に匹敵する。

・越水・決壊は一瞬で起きる
・車は使えない
・外に出ると流される
・避難は“早め”がすべて
・2階以上への垂直避難が基本

もしもの時は、
“高い場所へ逃げる”というシンプルな判断が命を守ります。

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