【防災士が解説】液状化現象とは?地震のあと地面が“ドロドロの液体”になる理由と危険性を解説

地震のニュースでよく目にする
液状化現象(えきじょうかげんしょう)
道路が波打ったり、家が傾いたり、砂が吹き出したりする現象です。

防災士として、その仕組みと被害、対策をわかりやすくまとめます。


■ 液状化現象とは?

地震の強い揺れで、
地中の砂が“液体のように”緩くなる現象。

● 地面が一時的に泥のようになる
● 地中の水が噴き出す
● 家が傾く・沈む
● 道路が波打つ

固体であるはずの地面が、
地震で急に“支える力を失う”のが液状化。


■ なぜ起きるの?

▼ ① 水を含んだ砂地が揺らされる

● 川沿い
● 埋立地
● 低地

こうした場所は地中に水が多く存在。

▼ ② 砂粒同士の隙間に圧力がかかる

揺れで水圧が上がり、砂がバラバラに。

▼ ③ 砂が“支える力”を失う

→ 地面が液体のようになり、ものが沈む。

▼ ④ 地中の水が地表へ吹き出す

“噴砂(ふんさ)”と呼ばれる砂や泥が地面から噴き出す。


■ 液状化はどんな場所で起きやすい?

● 埋立地(典型例)
● もともと湿地だった場所
● 川の近くの扇状地
● 造成地
● 砂丘地帯
● 低地
● 地下水位が高い地域

例:
2011年 東日本大震災の際、
千葉県浦安市・東京湾岸で広範囲に発生した。


■ 液状化による主な被害

▼ ① 家屋の沈下・傾斜

建物がそのまま斜めに沈む。

▼ ② 道路・マンホールの浮き上がり

マンホールが飛び出す映像は有名。

▼ ③ 水道・ガス管の破損

地面がずれて埋設管が壊れる。

▼ ④ 停電・断水が長期化

インフラ復旧が大きく遅れる。

▼ ⑤ 車・重機がスタック(埋まる)

タイヤが沈んで動けなくなる。


■ 液状化が危険な理由

● 地面の支持力を一瞬で失う
→ 建物・道路・橋脚などが機能しなくなる

● 大規模災害が起きていない地域でも被害が出る
→ 震度6弱でも広範囲で発生することがある

● 復旧に時間がかかる
→ 道路や下水道の再整備が必要で、数か月レベル


■ 家はどうすれば液状化に強くなる?

▼ ① 基礎を深くする(杭基礎)

硬い地層まで杭を打ち込むと沈みにくい。

▼ ② 地盤改良

地盤を固めて液状化しにくくする工法。

▼ ③ 地盤調査

購入前・建築前に必ず実施。


■ 個人ができる事前対策

● ハザードマップで液状化危険度を確認
● 地価や都市計画図で過去の土地利用を見る
● 地名から判断(“新田”“洲”“浜”“潟”は要注意)
● 住宅ローンの地震保険を必ず加入
● ライフラインが止まる前提で備蓄

自分の家が“どんな地盤の上にあるか”を知ることが最強の防災。


■ 液状化発生時の行動

▼ ① 車は絶対に進入しない

舗装の下が空洞になり、沈む危険がある。

▼ ② ガス漏れ・水漏れに注意

臭い・音・水たまりの変化を確認。

▼ ③ 家屋が傾いたら中に入らない

余震で倒壊の恐れ。


■ まとめ

液状化現象とは…

● 水を含んだ砂が地震で液体化する現象
● 埋立地・低地で特に起きやすい
● 家屋沈下・道路障害・ライフライン破壊が発生
● 地盤調査・杭基礎・地盤改良が有効な対策
● 車の進入は厳禁

地震の揺れだけではなく、
地面そのものが“壊れる”危険を知っておくことで、
より確実に命と生活を守ることができます。

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