【防災士が解説】火山灰とは?“吸い込む・積もる・機械が止まる” 火山災害の見えない脅威

日本は110以上の活火山を抱える「火山大国」。
その災害で最も身近で広範囲に影響するのが 火山灰(かざんばい) です。

石ではなく、砂でもない。
“ガラス片のように鋭くて軽い粒” が降ってくる——。
防災士として、危険性と備え方をやさしく解説します。


■ 火山灰とは?

火山の噴火で吹き上げられた
直径2mm以下の細かい粒子 のこと。

見た目は灰のように軽そうですが、
実際は ガラス・鉱物の細かな破片 が多い。


■ 火山灰の特徴

▼ ① ガラス片のように鋭い

→ 目・喉・肺を傷つける
→ 機械に入り込むと故障の原因

▼ ② 静電気で表面に張り付く

→ 車・窓・家の壁がすぐ汚れる

▼ ③ 水を含むと重くなる

→ 屋根がつぶれる危険

▼ ④ 乾くと風で舞い上がり続ける

→ 数日〜数週間、町全体に灰が残る


■ 火山灰がもたらす被害

▼ 1. 健康被害

● 喉の痛み
● 咳
● 目のかゆみ
● 気管支ぜんそくの悪化
特に子ども・高齢者は注意。


▼ 2. ライフラインの障害

・太陽光パネルが発電しない
・電線ショート
・下水の詰まり
・農作物への被害


▼ 3. 交通への支障

・視界不良
・道路が滑りやすくなる
・車のエアフィルターが詰まり故障
・鉄道遅延や運休


▼ 4. 建物への影響

水を含んだ火山灰が大量に積もると屋根が破壊される。


■ 大量降灰があった過去の災害

● 桜島噴火(鹿児島)
● 御嶽山噴火(2014)
● 三宅島
● 霧島山(新燃岳)

いずれも周辺地域で交通・健康・生活に大きな影響。


■ 火山灰は“雨”と組み合わせると危険性が倍増

雨が降ると
火山灰が粘土のように固まるため、
● 路面がスリップしやすい
● 屋根に重く積もる
● 停電が起きやすい
など、二次災害のリスクが上がる。


■ 防災士がすすめる対策

▼ ① 外出時はマスク・メガネ

布マスクでは不十分。
不織布マスク+メガネが必須。

▼ ② 洗濯物は絶対に外に干さない

ガラス片が付着して危険。

▼ ③ 車は“水で洗わない”

→ 火山灰が研磨剤のようになり、塗装を傷つける
→ まずは大量の水で流すか、乾いた状態でそっと払う

▼ ④ 家の隙間をふさぐ

火山灰はとても細かいため、
窓・換気口のフィルターが重要。

▼ ⑤ 屋根の火山灰を無理に下ろさない

落下事故が多い。
自治体の指示に従う。

▼ ⑥ 空気清浄機を活用

フィルター性能が高いほど効果的。


■ 火山灰はどれくらい遠くまで飛ぶ?

数十kmは普通。
場合によっては 100km以上 運ばれる。

富士山噴火では、
東京23区でも数cm積もる可能性と想定されている。


■ まとめ

● 火山灰=ガラス片のような細かい粒
● 健康・交通・電気・水・農業など広範囲の被害
● 雨と組み合わせると危険が倍増
● マスク・メガネ・室内保護が重要
● 屋根の除灰は無理しない

日本全国で起こり得る火山災害。
火山灰への理解と対策は、
地域防災力を大きく高めます。

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