【防災士が解説】火山泥流(ラハール)とは?大雨でも発生する“見えない火山リスク”

火山災害というと噴火の炎や溶岩を想像しがちですが、
実は多くの死者を出してきたのが 火山泥流(ラハール) です。

噴火時だけでなく 大雨や雪解けでも発生 するため、
「火山の近くに住んでいないから関係ない」は通用しません。

ここでは火山泥流の特徴・危険性・備え方をわかりやすく解説します。


■ 火山泥流(ラハール)とは?

火山の斜面に積もった
火山灰・軽石・岩石・砂などが、
大雨・噴火・雪解け水と混ざって 一気に流れ下る現象

速度:時速40〜60km
範囲:川沿いを数十km下る
破壊力:家屋・橋・道路を押し流すほど強力


■ なぜこんなに危険なのか?

▼ ① 川沿いを高速で流れ下る

一見すると泥水に見えるが、
その中には岩塊や丸太が大量に混ざり、破壊力は想像以上。

▼ ② 雨だけでも発生する

「噴火していないから安心」と思った瞬間が危険。

過去には噴火後 数年後の大雨 で泥流が起きた例も。

▼ ③ 夜間や豪雨時は発見が遅れる

川の増水と見分けがつかず、気付いたら迫ってくることも多い。

▼ ④ 逃げる方向を誤りやすい

川に沿って下流へ逃げると逆に流れの方向へ向かってしまう。


■ 火山泥流が発生するきっかけ

● 噴火にともなう雪崩・降灰
● 土石流と同時発生
● 大雨(台風・線状降水帯)
● 雪解け期
● 火山の地熱による氷雪の融解

噴火直後だけでなく、年単位で続くリスクがあることが特徴。


■ 過去の主な災害例

● ピナトゥボ火山(1991):噴火後の雨で大規模泥流
● 雲仙普賢岳(1991):火砕流後の堆積物が雨で流出
● 富士山:長い地質史の中で大規模泥流を多数発生

火山の国・日本では特に注意が必要。


■ 火山泥流と土石流の違い

土石流:山の斜面の土砂が雨で流れ下る
火山泥流:火山の堆積物が水と混ざり流れ下る

火山泥流の方が範囲が広く、スピードが速い傾向。


■ 命を守るための避難ポイント

▼ ① 川沿いに近づかない

泥流は必ず川を通るため、河川から離れるのが最優先。

▼ ② ハザードマップで“泥流区域”を確認

火山の麓から数十km先まで到達するため見落としがち。

▼ ③ 夜の豪雨は特に警戒

泥流の発見が遅れるため避難判断が遅れがち。

▼ ④ 高台・堅牢な建物へ退避

横へ逃げるより“上に逃げる”方が安全性が高い。


■ 家庭でできる備え

● 川沿いの危険区域を家族で共有
● 雨が強い日は外出せず情報収集
● マイタイムラインを作成
● 防災アプリ(キキクル・特別警報)で警戒レベル確認
● 停電や断水も想定して在宅避難の備え


■ まとめ

● 火山泥流は“雨だけでも起きる”見えない火山災害
● 川に沿って一気に下るため、距離があっても要注意
● 過去には噴火から数年後に発生した例も
● 避難は川沿いを避け、高台へ
● ハザードマップの確認が命を守る最大のポイント

火山から離れていても、泥流は川を通って遠くまで流れます。
「自分の地域は大丈夫」と思わず、事前の知識と備えが重要です。

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