火山から放出される 火山ガス は、
噴火の有無に関わらず常に出続ける“見えない危険”。
吸い込むと命に関わるものもあり、
登山者・観光客・周辺住民にとって大きな脅威になります。
ここでは、火山ガスの種類・危険性・対策を
防災士の視点でわかりやすく解説します。
■ 火山ガスとは？
火山内部のマグマが放出する
化学物質を含んだ混合ガスのこと。
火山ガスは、噴火時だけでなく
“普段の火山活動でも常に放出される”というのがポイント。
■ 主な火山ガスとその影響
▼ ① 二酸化硫黄（SO₂）
最も有名で、刺激臭が強い。
吸い込むと咳・呼吸困難・粘膜刺激を起こす。
→ 高濃度では命に危険。
▼ ② 硫化水素（H₂S）
“腐った卵のにおい”が特徴。
低濃度でも頭痛・めまい。
高濃度では数呼吸で倒れる非常に危険なガス。
→ 温泉地・噴気地帯で特に注意。
▼ ③ 二酸化炭素（CO₂）
無色無臭で気づきにくい。
低地や窪地に溜まりやすく窒息の危険。
▼ ④ 水蒸気
温泉地でよく見られる白い噴気。
高温で火傷リスクあり。
■ なぜ火山ガスは“厄介”なのか？
▼ ① 目に見えない
高濃度になっても視認できない。
▼ ② 風向きで突然流れてくる
安全だった場所が一瞬で危険に変わる。
▼ ③ 登山道・観光地に多い
火口付近や噴気地帯は危険エリア。
▼ ④ 人より重く“地面に溜まる”種類がある
気づいたときには呼吸に支障が出始めていることも。
■ 過去の主な事故例
● 有毒ガスで倒れた登山者
● 温泉地で硫化水素が溜まり死亡
● 噴気地帯で観光客が中毒
火山ガスは、噴火よりも頻度が高く日常的に危険が潜む。
■ 火山ガスから身を守る行動
▼ ①「立入禁止区域」には絶対に入らない
火口周辺規制が出る最大の理由が火山ガス。
▼ ② 風下に行かない
ガスは風に流されるため、風下は危険度UP。
▼ ③ ペットも危険
犬は地面に近い位置を歩くため、CO₂に特に弱い。
▼ ④ 窪地・低地に近づかない
重いガスは溜まるため、倒れたら自力で脱出できない。
▼ ⑤ のど・目の刺激を感じたら即避難
症状が出た時点で“すでに高濃度”と考える。
■ 登山者・観光客ができる備え
● 気象庁の「噴火警報・予報」を事前確認
● 防災アプリ（キキクル・火山情報）で最新情報チェック
● 火山ガス発生区域の看板を見逃さない
● 子ども・高齢者は特に慎重にルート選定
● 風向き予報も確認しておく
■ 自宅周辺が火山地域の場合の対策
● 家の窓・換気扇のガス侵入経路を確認
● 子どもの通学路が火口・噴気地帯に近くないかチェック
● CO₂高濃度が溜まりそうな“窪地”を避けた生活動線
● 車中泊は絶対NG（車内にガスが入り込む）
■ まとめ
● 火山ガスは“普段から出ている”見えない火山災害
● 硫化水素・二酸化硫黄・二酸化炭素は生命に危険
● 風向き・地形・火口距離で危険性が大きく変わる
● 立ち入り禁止区域を守り、症状が出たら即避難
● 登山者・観光客・周辺住民すべてに関係する災害
火山の魅力は大きい一方、
火山ガスは“見えない敵”。
正しい知識と慎重な行動で、自分も家族も守ることができます。
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