【防災士が解説】降灰(こうはい)とは?日常生活を一変させる“静かに広がる火山災害”

噴火のニュースでよく耳にする “降灰”
火山灰が風に乗って広範囲へ降り注ぐ現象で、
建物・交通・健康にまで影響が出る、非常に身近で厄介な火山災害です。

爆発的噴火がなくても起きることがあり、
遠く離れた地域でも被害を受けることがあります。

ここでは降灰の特徴、生活への影響、備え方を
防災士としてわかりやすくまとめます。


■ 降灰とは?

火山の噴火で放出された
火山灰(微細な石・ガラス片・鉱物)が風に運ばれ、地上に降り積もる現象

・大きさ:砂粒〜粉塵レベル
・性質:非常に鋭い、軽い、風で舞いやすい
・到達距離:数km〜数百km

鹿児島市のように、火山の近くでは日常的に降灰が発生する地域もある。


■ 降灰がもたらす影響(こんなに多い)

▼ ① 呼吸器への影響

火山灰は“細かいガラス片”のようなもの。
吸い込むと喉・肺を傷つけ、喘息を悪化させる。

マスクは必須。

▼ ② 目のトラブル

角膜を傷つけるため、目が痛くなりやすい。
コンタクトレンズは特に危険。

▼ ③ 車の運転リスク

・視界不良
・スリップ
・ワイパーでガラスに傷
・エンジンの吸気トラブル
※ワイパーは使わないのが鉄則。

▼ ④ インフラトラブル

・停電
・断水
・交通麻痺
・空港の離着陸制限
特に空港は火山灰に弱い。

▼ ⑤ 屋根の損傷・雨樋の詰まり

火山灰は雨で固まり、重さで屋根が傷むことも。


■ 降灰時の行動ポイント

▼ ① 外出は最小限

どうしても外に出る場合は
・不織布マスク
・メガネ
・長袖
・帽子
で必ず防護する。

▼ ② 家の窓は閉める

細かい灰は隙間から侵入しやすい。

▼ ③ 車は極力使わない

エンジンへのダメージが大きい。

▼ ④ ワイパーは使わず水で流す

ガラスが傷だらけになる。

▼ ⑤ 洗濯物は絶対に外に干さない

火山灰が付くと完全に落ちにくい。


■ 降灰処理のコツ(とくに大事)

▼ ① 乾いた灰を“掃く”のはNG

舞い上がってさらに吸い込む。
→ 水で湿らせてから処理する。

▼ ② 雨樋・側溝を早めに掃除

灰が固まると排水トラブルを起こす。

▼ ③ ゴミ袋は二重に

灰は重いので袋破損を防ぐ。


■ 家庭での備え

● 不織布マスク・ゴーグル
● ビニール手袋
● ブロアーや散水用ホース
● 雨樋の定期点検
● 空気清浄機のフィルター予備
● 車のエアフィルター交換準備


■ 降灰が“遠くまで飛ぶ”理由

火山灰は非常に軽く、
上空の風(ジェット気流)に乗ると
数百km先まで届く。

→ 過去には北海道や関東まで灰が飛んだ例も。


■ まとめ

● 降灰は噴火のたびに起こる身近な火山災害
● 健康・交通・ライフラインへの影響が大きい
● ワイパー使用は厳禁、外出時は防護が必要
● 灰の掃除は水で湿らせてから
● 火山から離れていても被害は起こり得る

噴火は見えなくても、
“灰が街を覆うだけで”生活は大きく変わります。
正しい対策と知識が、被害を最小限にするカギです。

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