火山噴火の映像で、
噴煙の中にバリバリと光る雷を見たことはありませんか?
それが 火山雷(かざんらい)。
巨大噴火でしばしば見られる現象で、
自然界でもトップクラスに迫力のある“火山特有の雷”です。
見た目は美しいですが、実は非常に危険。
ここでは火山雷の仕組みとリスクを、
防災士としてわかりやすく解説します。
■ 火山雷とは?
噴火の噴煙柱の中で発生する 雷現象 のこと。
通常の雷と同じく「電荷の偏り」で発生しますが、
火山では“火山灰の摩擦”が電気を生み出すのが特徴。
→ 噴煙が高く立ち上がるような大規模噴火で発生しやすい。
■ どうして火山雷が起こるのか?(仕組み)
▼ ① 火山灰同士が摩擦する
噴火で放出された灰・軽石・岩片が
激しくぶつかり合う
↓
静電気が発生
↓
帯電した粒子が分離して電荷の偏りが生まれる
↓
放電 → 雷になる
▼ ② 噴煙柱の上昇気流
巨大な噴煙は強い上昇気流を伴うため、
粒子が激しくぶつかりやすい。
▼ ③ 天候の雷とは別物
雨雲由来の雷ではなく、
“火山由来の雷”であることが最大の特徴。
■ 火山雷の種類
▼ ① 噴火直後の低高度雷
火口付近〜500m程度で発生。
灰・軽石が密集しているため激しい。
▼ ② 噴煙柱の中層で発生する雷
標高1,000〜5,000m付近。
巨大噴火で多く見られる。
▼ ③ 噴煙が雷雲を誘発するパターン
噴煙が上空で冷やされ、雷雲化する場合も。
■ 火山雷の危険性
▼ ① 噴火そのものが極めて危険
火山雷は“大規模噴火のサイン”。
噴石・火砕流・降灰のほうが圧倒的に脅威。
▼ ② 電撃による直接被害
火口付近や噴煙近くにいた場合、
落雷リスクがある。
▼ ③ 照明効果で噴火の規模が強調される
噴煙の中で光るため視界不良の中での判断が難しい。
■ 過去の発生例
● 桜島
● 新燃岳
● カムチャツカ半島の火山
● エイヤフィヤトラヨークトル(2010)
世界中の大噴火で頻繁に見られる。
■ 火山雷が見えたときの行動
▼ ① その場からただちに離れる
火山雷=大規模噴火のindicator
→ 火口から距離を取ることが最優先。
▼ ② 車・建物に避難
雷は金属に落ちやすいため、
車の中は比較的安全。
▼ ③ 風下に行かない
火山灰で視界不良になる。
▼ ④ 噴煙の高さの推定に使える
雷が多いほど、噴煙が高く活発という指標に。
■ 火山雷はどこから見える?
・山の麓
・市街地
・遠く離れた地点
夜間の噴火では、数十km離れていても
稲光のように見えることがある。
■ 火山雷とSNSの注意点
● 写真を撮るために近づくのは絶対にNG
● 火口付近のライブ配信は非常に危険
● デマ画像が出回りやすいので防災アプリで正しい情報を確認
■ まとめ
● 火山雷は“火山灰の摩擦”で起こる特有の雷
● 巨大噴火のサインであり、危険度は非常に高い
● 噴煙柱の位置や噴火規模の参考になる
● 観測できたらすぐに安全な場所へ避難
● 写真目的の接近は絶対に避ける
火山雷は美しく見えることもありますが、
それは“命の危険が迫るサイン”でもあります。
冷静に距離を取り、安全な行動を最優先にしましょう。

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