災害時、
「行こう」「逃げよう」と声をかけても、
子どもが動かない、泣いて拒否する。
被災地では、
この場面が決して珍しくありませんでした。
子どもが避難を嫌がるのには理由があり、
対処を間違えると状況は悪化します。
現場経験を踏まえ、現実的な対処法を整理します。
■① 嫌がるのは「危険を感じていない」からではない
子どもが避難を嫌がるのは、
危険が分かっていないからではありません。
多くの場合、
・今いる場所の方が安心
・知らない場所が怖い
という感情が勝っています。
被災地では、
自宅や教室に戻ろうとする子どもが多く、
「安全より安心」を優先する傾向がはっきり見えました。
■② 無理に引っ張ると逆効果になる
腕を引く、
大声で急かす。
これらは一時的に動かせても、
恐怖と混乱を強めます。
被災地では、
無理に動かされた子どもほど、
途中で座り込んだり、完全に動けなくなる場面がありました。
■③ 「理由説明」より「行動の一体化」
「危ないから」「逃げないといけないから」
という説明は、
子どもには届きにくいことがあります。
それよりも、
・手をつなぐ
・抱き上げる
・同じ目線で「一緒に行こう」と伝える
この“行動の一体化”が有効でした。
■④ 行き先を細かく説明しない
「避難所」「体育館」など、
未知の言葉は不安を増やします。
被災地で効果があったのは、
「明るいところ」「人がいるところ」
「少し歩いたら休めるところ」
と感覚的な説明でした。
■⑤ 子どもに小さな選択肢を与える
完全に指示されると、
子どもは抵抗します。
・どっちの靴で行く?
・この道とあの道、どっちがいい?
小さな選択肢が、
「自分で動いている感覚」を取り戻させます。
被災地では、
この一言で歩き出した子どもを何人も見ました。
■⑥ 避難は「途中で止まっていい」と知る
子どもは、
「ずっと歩き続けなければならない」
と感じると拒否が強くなります。
「途中で休もう」
「疲れたら止まろう」
と伝えることで、
最初の一歩が出やすくなります。
■⑦ 嫌がる子どもほど不安が強い
避難を嫌がる子どもは、
わがままでも反抗でもありません。
不安が限界に近い状態です。
被災地では、
嫌がる子どもほど、
避難後に強い緊張反応が出ることがありました。
■⑧ 親が「急がない空気」を作る
時間に追われる状況でも、
親が一瞬立ち止まり、
声を落とすだけで、
子どもの反応は変わります。
被災地では、
親の声のトーンが下がった瞬間に、
子どもが動き出す場面を何度も見ました。
■⑨ 対処のゴールは「動かすこと」ではない
子どもが避難を嫌がる時のゴールは、
完璧に指示通り動かすことではありません。
一緒に動ける状態を作ることです。
その状態が整えば、
避難は必ず前に進みます。
子どもが避難を嫌がるのは、
異常ではありません。
理由を知り、
力ではなく安心で動かす。
それが、
子どもの命と心を同時に守る防災対応になります。

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