2026年4月から、
私立高校の授業料が実質無償化され、
さらに公立小学校の給食費も月5,200円まで公費支援される方針が示されました。
一見すると「子育て世帯に優しい政策」に見えますが、
被災地で多くの家族を見てきた立場からすると、
これは教育政策であると同時に、生活防災そのものでもあります。
現場経験を踏まえ、冷静に整理します。
■① 私立高校授業料の実質無償化の中身
2026年4月から、
私立高校の授業料相当額について、
所得制限なしで支援金が支給されます。
私立全日制の場合、
1人あたり最大45万7,200円が支給される見込みです。
これにより、
これまで負担感が大きかった私立高校の授業料が、
家計からほぼ消える家庭も出てきます。
■② 給食費の公費支援が意味するもの
同時に、
公立小学校の給食費についても、
児童1人あたり月5,200円を上限に公費支援が始まります。
年間にすると約6万円。
複数の子どもがいる家庭では、
決して小さくない金額です。
被災地では、
「給食費が払えない」という不安が、
家庭のストレスを一気に高める場面を何度も見てきました。
■③ これは“子育て支援”であり“防災政策”でもある
災害が起きると、
真っ先に家計を圧迫するのは
・教育費
・食費
・住居費
といった固定費です。
被災地では、
固定費が軽い家庭ほど、
避難・再建・進路選択に余裕がありました。
今回の施策は、
家計の固定費を平時から軽くしておく=生活防災と捉えられます。
■④ 「無償化=お金がかからない」ではない
注意すべき点もあります。
無償化されるのは、
あくまで授業料と給食費の一部です。
・教材費
・部活動費
・修学旅行費
・学校外活動費
これらは引き続き自己負担です。
被災地では、
「無償だと思っていたのに想定外の出費が続いた」ことで、
生活が不安定になった家庭もありました。
■⑤ 給食費5,200円を超える分は自治体判断
給食費が月5,200円を超える場合、
その差額を
・自治体が負担するのか
・保護者が負担するのか
は地域ごとの判断になります。
被災地では、
自治体ごとの差が
そのまま生活格差として表れる場面もありました。
制度の「全国一律」と「地域差」は、
必ず確認が必要です。
■⑥ 財源は地方交付税、でも安心しきらない
今回の施策は、
地方交付税で措置され、
原則として自治体の新たな負担は生じないとされています。
ただし、
交付税を受け取らない自治体や、
独自負担が生じるケースもあります。
被災地で学んだのは、
「制度は変更されることがある」という現実です。
■⑦ 防災視点では「浮いたお金の使い道」が重要
授業料や給食費が軽くなった分、
そのお金をどう使うかが重要です。
被災地では、
・生活防衛資金
・災害時の予備費
・収入減への備え
に回していた家庭ほど、
災害後の立て直しが早い傾向がありました。
■⑧ 教育費の見通しは、子どもの安心につながる
教育費の不安は、
大人だけでなく子どもにも伝わります。
被災地では、
家計の見通しが立っていた家庭ほど、
子どもの情緒が安定していました。
教育費を把握することは、
心の防災でもあります。
■⑨ 制度を「知っている家庭」が強い
無償化や支援は、
自動的にすべてが解決する魔法ではありません。
申請、確認、想定。
これをしているかどうかで、
結果は大きく変わります。
私立高校授業料の実質無償化、
公立小学校給食費の支援は、
確かに家計を助ける政策です。
しかし本当の価値は、
平時から家計の耐災害力を高めることにあります。
制度を正しく理解し、
生活全体を守る視点で備えること。
それが、
被災地で何度も差を生んできた
現実的で続けられる防災です。

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