【防災士が解説】防災×除夜の鐘|一年を「整える」日本の伝統文化が教える防災の本質

年末になると全国の寺院で響く「除夜の鐘」。
この音は単なる年越しの風物詩ではなく、日本人が長く培ってきた“心を整える文化”そのものです。

防災の現場を経験してきた立場から見ると、
除夜の鐘には、現代の防災にも通じる大切な意味が込められています。


■① 除夜の鐘とは何か|日本の年越し文化の原点

「除夜」とは、旧年を除く日の夜、つまり大晦日の夜を意味します。
この夜、日本各地の寺院では百八つの鐘が撞かれます。

この習わしは、新年を迎える準備として、
一年分の心の乱れや迷いを整えるための儀式です。

単なる行事ではなく、
新しい年を生きるための“区切り”として行われてきました。


■② 百八つの意味|人間の煩悩と向き合う知恵

百八つという数には、いくつかの意味があります。

・一年十二ヶ月
・二十四節気
・七十二候

これらを合計した数という説。

また仏教では、

・人間には六つの感覚(六根)がある
・それぞれに苦・楽・不苦不楽がある
・煩悩は十八種
・さらに浄・不浄に分かれて三十六
・過去・現在・未来の三世で百八

と考えられています。

つまり、
人は誰でも煩悩を抱えて生きている存在だという前提に立っています。


■③ 一つずつ鐘を撞く意味|「リセット」ではなく「整理」

除夜の鐘は、煩悩を消し去る行為ではありません。

・一つずつ
・時間をかけて
・音として身体に響かせながら

煩悩と向き合い、手放していく行為です。

防災の現場でも、
不安や焦りを一気に消そうとすると、逆に判断を誤ります。

整えるとは、ゆっくり手放すこと
除夜の鐘は、その姿勢を私たちに教えています。


■④ なぜ百七つを旧年中に撞くのか

ならわしでは、

・百七つを旧年中に撞く
・最後の一つを新年になってから撞く

とされています。

これは、
煩悩を抱えたまま新年を迎えることを否定しないという考え方です。

完全でなくてもいい。
不安や迷いが少し残っていても、人は前に進める。

被災地でも、
「不安が消えた人」より「不安を抱えながら行動できた人」が助かる場面を多く見ました。


■⑤ 除夜の鐘と防災は、実は同じ思想に立っている

防災は、

・完璧を目指さない
・不安をゼロにしない
・判断を軽くする

という考え方が重要です。

除夜の鐘も同じです。

・一年の失敗を責めない
・心を整えて次に進む
・新しい年を受け入れる

この姿勢が、
災害時の冷静な判断力につながります。


■⑥ 被災地で感じた「心の整理」が命を守る瞬間

被災地では、

・後悔
・自責
・怒り
・不安

こうした感情が積み重なると、判断が鈍ります。

一方で、

「今できることに集中する」
「過去を一度区切る」

こうした人は、避難や生活再建が早い傾向がありました。

除夜の鐘が持つ
区切りの力は、防災においても非常に重要です。


■⑦ 現代の防災に活かせる除夜の鐘の考え方

年末年始は、防災を見直す絶好の機会です。

・今年できなかった備えを責めない
・一つだけ、来年の行動を決める
・不安を書き出して整理する

これだけで十分です。

防災は、
毎年少しずつ整えていくものです。


■まとめ

除夜の鐘は、

・煩悩を否定せず
・心を整え
・次の一年を迎える

ための日本の知恵です。

防災も同じです。

不安があるからこそ、備える。
迷いがあるからこそ、考える。

鐘の音に耳を澄ませながら、
一年を区切り、新しい年の防災を一つだけ決めてみてください。

それが、
最も自然で続く「日本的な防災」です。

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