⸻
はじめに|“防災を仕事にする”という生き方
地震・台風・豪雨・津波など、近年ますます多様化・激甚化する自然災害。
そうした中で注目されているのが、「防災の専門家」として社会を支える職業――それが消防職員や自治体の防災担当者です。
彼らは単なる「非常時対応」だけでなく、
• 災害に備えた訓練・マニュアル整備
• 防災教育・啓発活動の推進
• 避難所や物資供給の整備
• 危機管理や広報戦略
といった、日常から災害対応の中核を担うプロフェッショナルです。
この記事では、そんな「消防・防災担当者になるために必要な道のり・資格・心構え」について、元消防職員・防災士の視点から解説していきます。
⸻
第1章|消防・防災担当者とはどんな仕事か?
▼1. 消防職員(消防官)の主な役割
職域
業務内容
消火隊
火災現場での消火・救助活動
救急隊
怪我人・病人への緊急搬送と応急処置
救助隊(特別救助隊)
地震・交通事故・水難事故などの高度救助活動
予防課
火災予防指導、防火管理、建築物検査
警防課
火災統計、災害想定計画、訓練の企画立案
消防職員の中にも、「防災業務専門の担当者」が存在し、地域との連携や防災教育、BCP策定などにも携わります。
⸻
▼2. 自治体の防災担当職員(危機管理課等)
市町村役場や都道府県庁には、防災や危機管理を専門に担当する部署があります。
主な仕事
地域のハザードマップの整備と周知
避難所・備蓄倉庫の管理
防災訓練・イベントの企画運営
住民・学校・企業への防災教育
災害時の情報発信・対応本部業務(災害対策本部)
防災担当者はまさに、「見えないところで地域の安全を支える縁の下の力持ち」です。
⸻
第2章|防災の仕事に就くための2つのルート
▼① 消防士になる(公務員試験ルート)
目標:消防職員(地方公務員)として採用されること
• 各自治体の消防職員採用試験に合格することが基本
• 18歳以上30歳未満が一般的な受験対象(自治体によって異なる)
• 高卒・短大卒・大卒などで区分が異なる(試験内容も異なる)
【消防士の試験科目例】
• 教養試験(国語・数学・社会・時事など)
• 体力試験(走力、筋力、柔軟性、持久力など)
• 面接試験・集団討論
• 一部自治体では論文や適性検査あり
※合格後は消防学校での約6か月の初任教育が必須
(防災士や防火管理者の基本資格もここで修得)
⸻
▼② 自治体職員(防災部門)になる
目標:市町村役場や都道府県庁の職員として採用され、防災部署に配属されること
• 地方公務員試験(行政職)を受験し、役所へ就職
• その後、人事異動で防災担当課(危機管理課、防災課)に配属される
• 理系・工学系(土木・建築)や福祉系も歓迎される傾向あり
【求められるスキル】
• ハザードマップ・GIS活用などのITスキル
• 災害時の的確な判断力・リーダーシップ
• 自治体職員としての説明力・交渉力
⸻
第3章|防災担当になるために取っておきたい資格・研修
▼1. 防災士(民間資格・全国的に活用)
• 全国各地で防災啓発活動に携わることができる
• 消防士や役所職員の採用後にも取得する人が多い
• 市民ボランティアとしての立場から、就職に有利な実績にも
▼2. 防火管理者(建物管理・教育現場などで有効)
• 消防法に基づく資格。建物・施設管理やイベント開催で必須のことも
▼3. 応急手当普及員/救命講習
• 災害時の応急処置スキルを身につけ、教育にも活用可能
▼4. 危機管理士(リスクマネジメント重視)
• 自治体や企業のBCP(事業継続計画)策定など、上位職向けにおすすめ
▼5. ドローン国家資格(二等無人航空機操縦士など)
• 上空からの被災地確認や物資輸送支援に活用。自治体の導入が進む
⸻
第4章|防災を仕事にするための「心構え」と「スキル」
▼心構え①:災害は「待ってくれない」
• 防災担当者には「予見力」「即応力」「冷静な判断力」が求められる
• 机上の計画だけでなく、現場に出て足で情報をつかむ姿勢が重要
▼心構え②:平時こそ最大のチャンス
• 「何も起きていない時」に備えができてこそプロ
• 訓練や啓発は“地味”な作業だが、発災時に命を守るカギとなる
▼心構え③:人との信頼が「減災」につながる
• 住民・関係機関・ボランティアと顔の見える関係を築くことが災害時に活きる
• 防災担当者は地域コミュニケーションの“つなぎ手”
⸻
第5章|現場の声|実際に消防・防災の仕事に就いた人の例
▼Aさん(元消防士・防災士)
消防職員として10年間勤務。現場対応よりも、予防や教育に携わりたいと考え、地域防災士として自治体や学校に協力中。
「救助で命を助けるのは1回。でも、教えて命を守れるのは何百人分にもなる」と話す。
▼Bさん(市役所防災担当・30代)
地方自治体の行政職として採用され、3年目で危機管理課へ異動。災害時には24時間体制で本部対応。平時は避難所運営マニュアルや要配慮者支援計画の整備などを担当。
「発災後では遅い。備えの文化を育てるのが仕事」と話す。
⸻
終わりに|防災を“仕事”にすることは、社会を守ること
消防士、防災担当、公務員、防災士──
そのどれもが「災害から人の命を守る」ための職業です。
誰かが避けたがる「責任」と「プレッシャー」を、
誰かの命のために引き受ける。
それが、防災の仕事の本質です。
そして今、この仕事を志す若い力が必要とされています。
防災は“あなたの一歩”で変わる。
社会に貢献し、自分も成長できるキャリアとして、
「防災を仕事にする」という選択を、ぜひ真剣に考えてみてください。

コメント