災害後に大きな問題になるのが「生活再建のためのお金」。
世界では、日本とは異なる“保険の仕組み”を導入し、
被災者の生活を守る工夫が数多く存在します。
■ 1. アメリカ:住宅ローンに“災害保険”がセット
金融と防災が完全にリンク。
特徴
- 住宅ローン契約時に洪水保険が“義務化”される地域が多い
- FEMAによる低利子ローンで復旧を迅速化
- 保険会社がドローンで被害状況を即確認
日本が学べる点
- 高リスク地域での“保険加入の義務化検討”
- 保険金支払いまでのスピード改善
- ドローン評価による即時査定
■ 2. イギリス:洪水リスクに応じて“地域全体で割り勘”
個人負担が偏らない仕組み。
特徴
- 高リスク地域と低リスク地域の保険料を全体で調整
- 国が保険制度に部分的に介入し、高額化を防止
- 洪水マップを基に保険料が“公平に”算出
日本へのヒント
- 洪水リスクの全国統一評価
- 地域で負担を平準化する枠組み
- 保険料が“極端に高くならない仕組み”づくり
■ 3. フランス:国が災害保険を“半強制的に”導入
制度が非常にシンプル。
特徴
- 住宅保険に自動で“災害補償”が組み込まれる
- 地震・洪水・土砂など多くの災害がカバー
- 加入率ほぼ100%という世界でも稀な国
日本が学べる点
- 住宅保険へ災害補償を“自動付帯”する仕組み
- 複雑な保険をシンプル化
- 加入率を高める国家施策
■ 4. ニュージーランド:EQC(地震保険)が世界的モデル
大地震経験国だからこその制度。
特徴
- 国が“地震保険公社”を設立
- 民間保険+国のEQCで手厚い補償
- 被災住宅の修理方法が厳しくルール化
- 支払いまでの工程が視覚化されている
日本へのヒント
- 地震保険の補償範囲をもっと拡大
- 国と民間の共同スキームの強化
- 手続きの“見える化”で被災者の不安を軽減
■ 5. 韓国:災害保険を“自治体が購入”して住民へ提供
行政が一歩前に出るスタイル。
特徴
- 多くの自治体が保険を一括購入
- 住民は申し込み不要で“全員が対象”
- 保険金も自治体経由で受け取りやすい
日本の改善点
- 自治体一括加入のモデル地域を増やす
- 住民参加不要のシンプルな制度
- 弱者支援としての“公的防災保険”の発展
■ まとめ
世界の災害保険は、
- 義務化(アメリカ)
- 地域で負担調整(イギリス)
- 自動付帯(フランス)
- 公的地震保険(NZ)
- 自治体一括加入(韓国)
と、国によって大きく異なります。
日本が取り入れるべきヒントは、
- 加入手続きをもっと簡単に
- 補償範囲を広げる
- リスクに応じた保険料の透明化
- 地方自治体が前に出る保険制度
“防災=命を守る”、
“保険=生活を再建する”、
この両輪を強くすることで、日本はさらに災害に強い国になります。

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