災害に強い国は、インフラの作り方が日本と大きく異なります。
道路・建物・都市計画の思想が違うと、防災力も大きく変わります。
今回は「海外の防災インフラの考え方」をまとめ、日本の改善ポイントを整理します。
■ 1. オランダ:都市そのものを“水と共存する設計”へ
世界最強の水害対策国。
特徴
- 町全体が“水に浮く”フローティング住宅地
- 河川を塞ぐのではなく“逃がす”Room for the River政策
- 水門・巨大堤防を国家が一元管理
- 洪水を前提に都市設計
日本のヒント
- 河川を“広げる”発想
- 水と共存する遊水地・公園整備
- 堤防・水門の国家レベル統括
■ 2. デンマーク:道路が“巨大排水路”として機能
北欧は都市洪水対策が先端。
特徴
- 大雨時は道路の中央部に水を流す“オープン排水路”化
- 車道 → 洪水時は排水路
- 歩道 → 非常時の避難路
- 公園が巨大貯水池に変わる“スマートパーク”を整備
日本のヒント
- 都市部の道路を“排水路化”して浸水軽減
- 公園・広場の貯水機能の強化
- 歩道を避難動線として再整備
■ 3. イギリス:地下インフラに“防災容量”を確保
ロンドンは老朽都市ゆえの知恵。
特徴
- 地下深くに巨大トンネルを掘り“雨水専用の地下道”を設置
- ビクトリア駅など主要駅は“浸水時の避難拠点”になる
- 新築ビルは雨水貯留タンクが必須
- 下水道が豪雨用に二重化されている
日本のヒント
- 地下トンネルを“雨水逃げ場”として整備
- 主要駅の防災拠点化
- 建物への雨水タンク義務化の検討
■ 4. カナダ:寒冷地ならではの“冬災害に強い街”
雪害対策が日本より先を行く。
特徴
- “スノーシェルター道路”で吹雪でも移動可能
- 暖房付きバス停が標準
- 冬季の停電対策として公共施設に大規模バッテリー
- 広域避難所は暖房・水・食料を3日分常備
日本のヒント
- 降雪地域の“雪用道路シェルター化”
- 暖房付きバス停の設置
- 冬災害の停電に備えた公共バッテリー強化
■ 5. チリ:都市計画の前提が“巨大地震”
世界トップの耐震文化。
特徴
- 建物は“倒れない”ではなく“壊れながら人を守る”設計
- 避難路が最初から都市設計に組み込まれている
- 津波避難ビルが街に多数配置
- 耐震基準は日本以上に厳格な面も
日本のヒント
- 避難路を都市計画に組み込む
- 津波避難ビルの数を増やす
- “壊れ方まで計算する建物設計”の普及
■ まとめ
世界の防災インフラ思想は、日本とは全く違います。
- 水と共存する都市(オランダ)
- 道路を排水路にする(デンマーク)
- 地下インフラの防災容量確保(イギリス)
- 雪害前提の都市(カナダ)
- 巨大地震を前提とした建物(チリ)
日本が学べるのは、
“災害を防ぐ”のではなく
“災害と共存する都市を設計する”という発想。
インフラの考え方が変われば、
日本の防災力はもっと強くなります。

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