【世界の“災害後のメンタルケア”に学ぶ】大規模災害のあと、人の心は深く傷つく。海外では心の回復を“災害対応の一部”として扱い、専門家だけでなく地域も一体で支える仕組みがあります。日本でも大きく参考になる分野です。


■ 1. アメリカ:PTSD専門チームが即時に派遣される

米国は“心理ケアも緊急対応”という考え方が強い。

特徴

  • 災害発生直後に心理専門家チーム(Crisis Counseling Program)が派遣
  • 避難所で常時カウンセラーが相談対応
  • 子ども向けの心理ワーク(ぬりえ・ゲーム)を実施
  • PTSD予防を最重要視

日本のヒント

  • 災害直後から心理専門家が常駐する仕組み
  • 子ども専用のメンタルケアプログラム導入
  • 避難所相談ブースの標準化

■ 2. オーストラリア:コミュニティが“心の支え”になる

山火事が多いため、地域全体でメンタルケアを共有している。

特徴

  • コミュニティセンターが“心の回復拠点”に
  • グループトークで住民同士が話す場をつくる
  • 心の回復ステージに合わせたプログラム
  • 子ども・高齢者の孤立を防ぐ仕組み

日本のヒント

  • 避難所に“心の回復スペース”を設置
  • グループ形式の対話プログラム
  • 高齢者や子どもの見守り強化

■ 3. カナダ:心理教育(Psychoeducation)が徹底

精神的ストレスを“科学的に理解する”ことが基本。

特徴

  • PTSD・ストレス反応を説明する資料を全員に配布
  • 「自分は正常な反応だ」と理解させる
  • 不安時の呼吸法・睡眠改善法まで案内
  • 子どもにはアニメーション教材

日本のヒント

  • 避難所で“ストレス反応の説明資料”を配布
  • 呼吸法・セルフケアの説明をセット
  • 子ども向けアニメ教材の作成

■ 4. イギリス:被災者に“希望の物語”を発信する文化

災害後、希望を感じることが回復につながるとされている。

特徴

  • 被災者の“前向きな体験談”をニュースで紹介
  • 助け合いの事例を積極的に発信
  • SNSで支援の輪が広がる
  • メディアが“心の復興”を後押し

日本のヒント

  • 地域の助け合い事例を積極発信
  • 避難所掲示板で“励ましメッセージ”
  • 住民同士のポジティブな交流を促進

■ 5. スイス:長期メンタルケアを“行政が主導”

スイスは短期だけでなく、長期支援が当たり前。

特徴

  • 災害後数ヶ月~数年の継続ケア
  • カウンセリング費用を国が支援
  • PTSDの長期調査が全国的に行われる
  • 心の健康を“社会全体”で守る仕組み

日本のヒント

  • 長期的な心理支援の制度化
  • カウンセリング費用の公的補助
  • 心の健康データの長期調査

■ まとめ

海外のメンタルケアは、
“災害=心のケアも同時に考える” という発想が主流。

  • アメリカ → PTSD専門チームの即時派遣
  • オーストラリア → コミュニティで支える
  • カナダ → 科学的な心理教育が徹底
  • イギリス → 希望のストーリーで心を回復
  • スイス → 長期ケアを国家が支援

日本でも、こうした仕組みを取り入れることで、
“心も守る防災”へ大きく前進する。

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