災害時、避難所で音楽を聴くことに「気が引ける」「非常識ではないか」と感じる人は少なくありません。一方で、被災地では音楽が心の支えになっている場面も確かに存在します。この記事では、避難所で音楽を聴いてもいいのかという疑問に対し、被災地経験を踏まえながら、守るべきマナーと注意点を整理します。
■① 避難所で音楽を聴くこと自体は否定されていない
結論から言うと、避難所で音楽を聴くこと自体が禁止されているケースはほとんどありません。実際、東日本大震災や熊本地震の避難所でも、イヤホンを使って静かに音楽を聴いている人は多くいました。大切なのは「聴くこと」よりも「どう聴くか」です。
■② 音を出さないことが大前提
避難所は多くの人が共同で生活する空間です。スピーカーで音楽を流すことは、原則として避けるべきです。被災地では、ほんの小さな音でも「うるさい」「眠れない」と感じる人がいます。音楽を聴くなら、必ずイヤホンやヘッドホンを使うのが基本です。
■③ 周囲の状況に常に意識を向ける
音楽に集中しすぎると、周囲の変化に気づきにくくなります。被災地では、余震のアナウンスや配給の呼びかけが突然入ることがあります。私が現地で見た中でも、イヤホンをしたまま重要な連絡を聞き逃してしまった人がいました。片耳だけにする、音量を下げるなどの工夫が必要です。
■④ 夜間は特に配慮が求められる
夜の避難所は、昼以上に静寂が保たれています。ヘッドホンの音漏れや、操作音、通知音ですら気になることがあります。被災地では「音楽そのものより、スマホの操作音が気になった」という声もありました。夜は特に慎重な配慮が必要です。
■⑤ 周囲の人の状態はさまざま
同じ避難所にいても、心の状態は人それぞれです。音楽で落ち着く人もいれば、音楽が逆につらく感じる人もいます。大切なのは「自分が大丈夫か」ではなく、「周囲に負担をかけていないか」という視点です。被災地では、この意識の差がトラブルにつながることもありました。
■⑥ 音楽を共有する場合は合意が必要
ラジオ体操や簡単なレクリエーションなど、音楽を共有する場面もあります。この場合は、必ず周囲の合意を取ることが前提です。現場では、自治会や避難所運営側が時間と内容を調整して行っていました。個人の判断で流すのは避けるべきです。
■⑦ 「聴かない自由」も尊重する
避難所では、「音楽を聴く自由」と同時に「聴かない自由」も尊重されなければなりません。音楽は癒しにもなりますが、強制されるとストレスになります。被災地でうまくいっていた避難所ほど、この線引きが明確でした。
■⑧ 迷ったら控えめが正解
避難所でのマナーに迷ったときは、「控えめ」が最も安全な選択です。音量を下げる、時間を短くする、周囲を見る。それだけでトラブルは大きく減ります。音楽は心を守る道具ですが、使い方を間違えると逆効果になることもあります。配慮こそが、避難所での最大のマナーです。

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