災害時、「静かな方が落ち着くはず」と思われがちですが、被災地では“無音がつらい”と感じる人が少なくありません。夜の避難所や自宅待機中、音がないことで不安が増幅する場面を何度も見てきました。この記事では、被災地経験を踏まえながら、無音がつらくなる理由と、音楽が果たす役割を整理します。
■① 無音は不安を増幅させやすい
災害時の無音は「安全」を意味しません。むしろ、次に何が起きるかわからない緊張を強めます。被災地では、音がしないことで余震や異変を過剰に意識し、体が休まらない人が多くいました。
■② 脳が「考えすぎる」状態になる
音がないと、頭の中の思考が止まりません。不安な想像、これからの生活、家族の心配。無音は、そうした考えを増幅させます。被災地では「静かすぎて逆につらい」という声を何度も聞きました。
■③ 小さな物音に過敏になる
無音の環境では、わずかな物音が大きく感じられます。誰かの寝返り、外の風の音、それだけでドキッとすることがあります。被災地では、この過敏さが睡眠不足につながっていました。
■④ 音楽は「安心できる背景音」になる
音楽は主張するものではなく、背景として存在することで効果を発揮します。被災地で役立っていたのは、「意識しないと聞こえない程度」の音でした。完全な無音よりも、安心できる背景音がある方が心は落ち着きます。
■⑤ 音楽が時間の流れを感じさせる
災害時は、時間感覚が乱れやすくなります。音楽が流れていると、「今は休む時間」「夜が過ぎていく」という感覚を取り戻しやすくなります。被災地では、この感覚が心の安定につながっていました。
■⑥ 無音を埋める目的で選ばれていた音
現場で使われていたのは、歌詞のない音楽や自然音に近い音です。意味を考えなくていい音は、無音のつらさを和らげつつ、心を刺激しすぎません。特別な選曲は必要ありませんでした。
■⑦ 音楽は「不安を消す」のではなく「和らげる」
音楽を流せば不安がなくなるわけではありません。しかし、無音によって膨らむ不安を抑えることはできます。被災地では、この「少し楽になる」感覚が、夜を乗り切る助けになっていました。
■⑧ 無音がつらいと感じたら、それは自然な反応
無音がつらいと感じるのは弱さではありません。命を守ろうとする体の自然な反応です。音楽は、その反応をやさしく支える道具の一つです。災害時には、「無音に耐えなくていい」という選択肢があることも、心の備えになります。

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