災害時、人は「時間の感覚」と「生活の区切り」を一気に失います。被災地では、昼夜の区別がつかなくなり、何をすればいいのか分からず、心身が消耗していく様子を多く見てきました。この記事では、被災地経験を踏まえながら、音楽が「生きるリズム」を取り戻す理由を整理します。
■① 災害時は時間の感覚が崩れやすい
発災後は、時計を見ても実感が伴わず、「今が何日目なのか分からない」という状態になりがちです。被災地では、この時間感覚の崩れが、疲労や不安を増幅させていました。リズムの喪失は、心の不安定さに直結します。
■② 音楽は「区切り」を作りやすい
音楽には、始まりと終わりがあります。被災地では、「この曲が終わったら休む」「この音を聴いたら夜」というように、音楽が行動の区切りとして使われていました。小さな区切りが、生活を立て直す足がかりになります。
■③ 朝と夜を分ける目印になる
避難生活では、朝らしさ・夜らしさが失われがちです。被災地では、朝に明るすぎない音、夜に静かな音を使うことで、体が自然と切り替わる人がいました。音楽は、光の代わりに時間を知らせる役割を果たします。
■④ 何もできない時間を「休息」に変える
災害時は、動けない時間が増えます。その時間を「無駄」と感じると、心はさらに疲れます。被災地では、音楽を流すことで「今は休む時間」と位置づけ、罪悪感なく体を休めている人がいました。
■⑤ 繰り返しが安心感を生む
同じ音楽を、同じタイミングで使うことで、生活に一定のリズムが生まれます。被災地では、この繰り返しが「今日も昨日と同じように過ごせた」という安心感につながっていました。
■⑥ リズムが戻ると判断力も戻りやすい
生活リズムが整い始めると、考える力や判断力も少しずつ戻ってきます。被災地では、音楽を生活の区切りとして使っていた人ほど、冷静な判断ができている印象がありました。
■⑦ 無理に活動的になる必要はない
リズムを取り戻すことは、活発になることではありません。被災地では、「休む・起きる・眠る」が安定するだけで、心の負担が大きく減っていました。音楽は、その最低限のリズムを支えます。
■⑧ 音楽は「生き続けるための目印」
災害時に必要なのは、頑張り続けることではなく、生き続けることです。音楽は、日常が壊れた中で、「ここまで来た」「次はここ」という目印になります。被災地で感じたのは、リズムを取り戻せた人ほど、長い避難生活を耐え抜けていたということでした。

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