防災というと、水・食料・ライトといった「物の備え」が真っ先に思い浮かびます。しかし被災地では、それだけでは足りない場面を何度も見てきました。長引く不安や緊張の中で、人を支えていたのは「心の備え」でした。この記事では、被災地経験を踏まえ、音楽を防災として備えるという新しい考え方を整理します。
■① 防災は「生き延びる備え」から「生き続ける備え」へ
発災直後を乗り切るための備えは重要です。しかし被災地では、数日、数週間と時間が経つにつれ、心の消耗が深刻になっていきました。音楽は、生き延びたあとに「生き続ける力」を支える備えになります。
■② 音楽は物資と違い「減らない備え」
水や食料は使えば減りますが、音楽は減りません。スマホや小型機器に入れておけば、繰り返し使えます。被災地では、この「何度使っても失われない備え」が、心理的な安心につながっていました。
■③ 心の不調は行動力を奪う
不安や緊張が強い状態では、判断力や行動力が落ちます。被災地では、心が疲れている人ほど、些細な判断ができなくなっていました。音楽は、心の状態を整え、行動できる余力を残す役割を果たします。
■④ 音楽は「道具」ではなく「環境」を整える
防災グッズは直接行動を助けますが、音楽は環境を整えます。被災地では、静かな音があるだけで空間の緊張が和らぎ、人の表情が変わる場面がありました。環境が変わると、人の反応も変わります。
■⑤ 事前に備えるから意味がある
音楽は、災害が起きてから探しても使えません。被災地では、事前に準備していた人だけが、無理なく音楽を活用できていました。オフラインで聴ける状態にしておくことが、防災としての条件になります。
■⑥ 家族全員を支えられる備えになる
音楽は、年齢や体力に関係なく使えます。被災地では、子どもから高齢者まで、同じ音が安心感を共有する場面がありました。一人分ではなく、家族全体を支える備えとして考えられます。
■⑦ 「使わなくてもいい」ことが前提の備え
音楽は必ず使わなければならないものではありません。被災地では、「今日は使わなかった」という日も普通にありました。使わない選択ができる余裕こそが、備えが機能している証拠です。
■⑧ 音楽を備えることは「心を後回しにしない」という意思
災害時、人は自分の心を後回しにしがちです。音楽を備えるという行為は、「心も守る対象に含める」という意思表示でもあります。被災地で感じたのは、心を守る準備ができていた人ほど、長い災害対応を乗り切れていたということでした。

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