【防災士が解説】防災×円安|「今の円安」は災害に強い日本と言えるのか?

為替市場で円安が進み、1ドル=150円台が当たり前の状況になっています。円安は株価や輸出企業にとってプラスに見える一方で、私たちの生活や防災の観点では見過ごせない影響があります。被災地対応を経験してきた立場から、「円安は防災にとって良いのか」という視点で整理します。


■① 円安は「静かな災害」として生活を圧迫する

円安が進むと、エネルギー、食料、資材などの輸入価格が上がります。これは一気に被害が出る災害ではありませんが、家計と生活をじわじわ削る「静かな災害」です。被災地では、もともと余裕のない生活の中で物価高が重なり、体調悪化や生活不安につながるケースを多く見てきました。


■② 物価高は災害時の耐久力を下げる

物価が高い状態では、備蓄や修繕、防災対策に回せるお金が減ります。ガソリン、灯油、電気代が高いと、災害時の移動や暖房も制限されます。被災地で感じたのは、「平時の余裕」がそのまま「災害時の耐久力」になるという現実です。


■③ 円安は「外国人問題」だけでなく地域防災にも影響する

円安により外国人観光客や投資が増えると、地価や家賃が上昇します。結果として、地元住民が住み続けにくくなり、地域の人口構成が変わります。被災地では、人口流出が進んだ地域ほど、防災力が落ちやすい傾向がありました。地域に人が住み続けられるかどうかは、防災の基盤です。


■④ 国力の低下は復旧・復興スピードに直結する

円安によって日本のGDPや一人当たりGDPの順位が下がると、「衰退する国」という印象が強まります。これは心理的な問題だけではありません。国の経済力が弱まれば、大規模災害が起きたときの復旧・復興に使える資金や人材も限られます。防災は経済力と切り離せません。


■⑤ 金融政策の選択は防災政策でもある

アベノミクス以降の金融緩和は、デフレ脱却に一定の成果を出しましたが、円安と物価高を招きました。金利を上げれば円高方向に働く可能性がありますが、国の利払い負担は増えます。被災地対応で感じたのは、「どこかを守るために、どこかに負担が出る」という現実です。金融政策は、見えにくい防災政策でもあります。


■⑥ 円安は「輸出企業だけの話」ではない

円安は輸出企業の利益を押し上げる一方で、内需や生活者には負担が集中します。災害時には、利益を出している企業よりも、生活者や地域が直接的な影響を受けます。防災の視点では、「誰が耐えられるのか」「誰が先に限界を迎えるのか」を見る必要があります。


■⑦ 家庭でできる「円安時代の防災」

円安そのものを家庭で止めることはできませんが、備えはできます。
・エネルギー消費を抑える生活習慣
・備蓄を少しずつ分散して増やす
・輸入依存の高い物資に頼りすぎない
・修繕や買い替えを先延ばししすぎない

これらは、物価高時代の現実的な防災行動です。


■⑧ 「円安でいいのか?」は防災の問いでもある

円安が続くことは、経済政策の問題であると同時に、防災の問題でもあります。被災地で見てきたのは、「平時の小さな歪みが、災害時に一気に表面化する」という現実です。円安がもたらす影響を生活と防災の視点で考えることは、これからの時代を生き抜くために欠かせません。

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