【世界の“災害想定の違い”に学ぶ】どの国も災害は起きますが、“何を最大リスクとして想定するか”は大きく異なります。その違いから、日本が学べる視点を整理します。


■ 1. アメリカ:複合災害(ハリケーン+洪水+停電)を前提にする

アメリカ南部では「一つの災害で終わらない」ことが常識。

特徴

  • ハリケーン後の“長期停電”を必ず想定
  • 洪水・暴風・高潮が同時発生する前提
  • 大規模避難と大規模帰宅困難がセット
  • 災害医療は“野戦病院方式”が標準

日本が学べる点

  • 停電を長期前提にした備蓄
  • 複合災害を一つのセットで考える
  • 一時医療拠点(フェーズドホスピタル)の整備

■ 2. ドイツ:化学工場災害を最重視

工業地帯が多いため、地震より“化学災害”が脅威。

特徴

  • 化学物質漏えい、爆発、煙害を想定
  • 周辺住民は“屋内退避の訓練”が義務
  • 避難所よりも“密閉できる家”を重視
  • 専門防護服を自治体が備蓄

日本が学べる点

  • 工場地域の屋内避難訓練の強化
  • 化学災害への広報・教育
  • 防護装備の整備(自治体レベルで)

■ 3. イタリア:火山噴火を最優先災害とする文化

日本と同じ火山国だが、その重要度が違う。

特徴

  • 火山危険区域の住民は“強制避難”がありうる
  • 火山監視カメラ・地殻変動センサーが非常に多い
  • 噴火後の“火山灰処理計画”まで事前に決定
  • 避難シェルターが火山専用で設置

日本が学べる点

  • 火山灰処理まで含めた自治体計画
  • 危険区域住民の避難教育
  • 火山専用避難計画の明確化

■ 4. バングラデシュ:高潮・河川洪水が“年間行事”

日本では考えられないほど日常的に水害が発生。

特徴

  • 毎年のように大規模洪水
  • 家屋は水に流される前提で建設(軽量構造)
  • 高床式建物が一般的
  • 食料・飲料水の常備が生活文化として根付く

日本が学べる点

  • 高床式・水害耐性住宅の導入
  • 水害地域の備蓄教育
  • “水害前提のまちづくり”発想

■ 5. ニュージーランド:地震+津波をセットで想定

日本以上に津波避難が徹底している。

特徴

  • 揺れた瞬間に“高台へ走る”文化
  • 海岸部に逃げ道の看板が非常に多い
  • 避難ルートが細かく地図化
  • 海沿い住民は月1の津波避難訓練

日本が学べる点

  • “揺れたら即避難”の文化浸透
  • 逃げ道の標識をもっと増やす
  • 津波避難訓練の頻度アップ

■ 6. サウジアラビア:砂嵐・高温障害を最重要リスク

砂漠地帯ならではの視点。

特徴

  • “砂嵐警報”が防災の主役
  • 視界ゼロの交通事故対策が進む
  • 高温障害のリスク周知が徹底
  • 屋外労働に“気温規制”がある

日本が学べる点

  • 熱中症対策を“災害レベル”で扱う
  • 砂塵・PMのリスク周知
  • 高温時の屋外作業ルールの明確化

■ まとめ

世界各国はそれぞれ違う“最優先災害”を持っている。

  • アメリカ → 複合災害
  • ドイツ → 化学工場災害
  • イタリア → 火山噴火
  • バングラ → 年間洪水
  • NZ → 地震+津波
  • サウジ → 砂嵐・高温

この違いを知ることで、日本の“地域特性に合った防災計画”もより進化する。

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