能登半島地震から2年。
この災害は、日本の避難のあり方に大きな問いを投げかけました。
その一つが、「民泊」という新たな二次避難先の可能性です。
■① 能登で示された「民泊」という新しい選択肢
兵庫県立大学大学院・阪本真由美教授は、能登半島地震を振り返り、次のように指摘しています。
「能登半島地震では、民泊が避難先の新しい選択肢として示されました。民泊のストックは今後増えていくと考えられ、それらをうまく活用できれば、より良い避難環境が確保できると思います」
実際、民泊は
・生活設備が整っている
・家族単位で生活できる
・高齢者や子ども、ペットにも対応しやすい
といった点で、長期避難に適した特徴を持っています。
■② 課題は「制度を災害に合わせること」
一方で教授は、こうも述べています。
「そのためには、民泊の制度設計を災害にも対応できるように変えていかなければいけません」
現行制度は、観光や短期滞在を前提としており、
・宿泊日数の上限
・行政の関与の難しさ
・災害時の特例が想定されていない
といった問題があります。
能登での経験は、「制度が平時仕様のままでは命を守れない」ことを浮き彫りにしました。
■③ 「フェーズフリー」な避難先という考え方
民泊は、空き家問題の解消にもつながる可能性があります。
しかし一方で、東京23区を中心に、
・ゴミ出し
・騒音
・利用者マナー
をめぐる近隣住民からの苦情が増え、自治体による規制強化も進んでいます。
実際、墨田区では2025年12月、新規事業者の宿泊期間を週末に限定する条例が可決されました。
ここで重要になるのが「フェーズフリー」という考え方です。
フェーズフリーとは、
平常時と災害時を切り分けず、普段使っているものや仕組みが、非常時にも役立つ状態を指します。
民泊はまさに、
・平時は地域の宿泊施設
・災害時は避難先
として機能しうる存在です。
■④ 地域に受け入れられてこそ「避難先」になる
民泊を二次避難先の「もう一つの選択肢」にするには、
制度だけでなく、地域社会の理解が不可欠です。
地域から敬遠される民泊では、
被災者が安心して避難生活を送ることはできません。
だからこそ、
・普段から地域に溶け込む
・日常的に利用される
・違和感なく存在する
そんな民泊が増えた先に、
災害時の有効活用という未来があります。
■⑤ 能登が教えてくれたこと
能登半島地震は、
・避難は長期化する
・避難所だけでは足りない
・「生活できる場所」が命を左右する
という現実を突きつけました。
民泊は万能ではありません。
しかし、選択肢が一つ増えるだけで、救える命があるのも事実です。
これからの防災は、
「避難所を増やす」だけでなく、
「避難の選択肢を増やす」段階に入っています。
民泊という存在は、その一歩になり得るのです。

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