【防災士が解説】防災×富士山噴火|「いつ起きてもおかしくない」首都圏の生活はどう変わるのか

富士山は、日本の象徴であると同時に、れっきとした「活火山」です。
300年以上噴火していない今の状態は、決して安全を意味しません。

被災地対応の現場に立った経験から言えるのは、
火山災害は「逃げ遅れ」よりも「生活停止」が人を追い詰めるということです。


■① 富士山は“静か”だからこそ危険

富士山は過去5600年間で約180回噴火してきました。
平均すると約30年に1回の頻度です。

それにもかかわらず、前回の噴火は1707年の宝永噴火。
300年以上、噴火していません。

これは「安全」ではなく、
マグマが蓄積している状態と考えられています。

被災地でも「前兆がなかった」「まさかここで」という言葉を何度も聞きました。
富士山噴火も同じです。


■② 首都圏を直撃するのは“火山灰”

富士山が噴火した場合、
首都圏で最も深刻なのは「火山灰」です。

宝永噴火では、
・火口から約14kmの地域で火山灰150cm
・新宿周辺でも最大10cm程度の降灰

と想定されています。

火山灰は雪と違い、
・溶けない
・非常に重い
・鋭利で傷をつける

被災地で見た瓦礫より、
生活への影響は長く、広範囲になります。


■③ 交通・物流はほぼ停止する

火山灰が0.5mm積もるだけで、鉄道は止まります。

理由は単純で、
・レールと車輪の間に火山灰が入り
・列車検知ができなくなる

車も安全ではありません。

被災地での走行試験では、
・乾燥灰 → ハンドル操作不能
・雨+灰 → 完全にスリップ
・坂道 → 登れない

1台でも止まれば、道路全体が機能不全になります。

物流は確実に止まります。


■④ 水・電気・食料が同時に失われる可能性

火山灰は河川に流れ込み、
浄水場の処理能力を超えると「飲み水」が止まります。

また、
・停電
・通信障害
・食料配送停止

が同時に起こる可能性が高い。

被災地では、
「家が無事でも生活ができない」
この状態が一番つらい。


■⑤ 原則は“自宅待機”という現実

富士山噴火では、
建物倒壊の恐れがない限り自宅待機が原則とされています。

理由は、
・外の方が危険
・移動が困難
・避難所も機能しない

これは、地震被災地での在宅避難と同じ考え方です。


■⑥ 7〜10日分の備蓄が現実的ライン

専門家が勧めているのは、
最低7〜10日分の水・食料・生活物資

宝永噴火は約2週間続きました。
火山灰が降っている間は、復旧作業も進みません。

被災地では、
「3日分備蓄」はほぼ意味を持ちませんでした。


■⑦ 火山灰対策は“道具より判断”

外出が必要な場合は、
・ゴーグル
・マスク
・長靴

が必須ですが、最も重要なのは
無理に動かない判断です。

被災地では、
「行かなきゃ」という思い込みが
二次被害を生みました。


■⑧ 富士山噴火は“首都直下型の生活災害”

富士山噴火は、
命を奪う災害というより、

・生活を止める
・社会を止める
・不安を長引かせる

首都直下型の生活災害です。

だからこそ必要なのは、
「逃げ方」よりも
「止まった生活をどう耐えるか」。

被災地の経験から、
これだけは断言できます。

備えがある人ほど、慌てません。
慌てない人ほど、被害は小さくなります。

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