世界の防災研究では、
「人が災害にどう反応するか」を科学的に解き明かす
避難行動心理学(Evacuation Behavioral Science) が急速に発展しています。
日本の防災にも直結する重要な学びが多く、
“人はなぜ逃げ遅れるのか?” を理解する強力なヒントになります。
■ 1. 世界共通で見られる“正常性バイアス”の強さ
どの国でも、人は危険を過小評価しがちです。
代表的な行動パターン
- 「自分だけは大丈夫」と思う
- 「まだ逃げなくていい」と結論づける
- 周囲の様子を見るまで動かない
アメリカ・欧州・アジアの研究でも、
逃げ遅れの最大原因は心理の問題 と判明。
日本の災害でも同じ現象が繰り返されています。
■ 2. 人は“家族や職場”の情報を優先する
海外の研究でわかったのは、
避難情報よりも 身近な人の言葉 が行動を変える力を持つということ。
優先される順番は…
1位:家族(特に子ども)
2位:職場や学校
3位:近所の人
4位:行政の避難情報
なぜ?
- 感情が動く
- 信頼している
- 行動の想像がしやすい
- “自分事化”できる
日本が避難率を上げるには、
家族単位での避難スイッチ が重要。
■ 3. “最初の5分”で運命が決まる
世界中の災害データを分析した結果、
人の避難行動は 最初の5分の判断 に大きく依存しています。
最初の5分で起きること
- 情報を探す(スマホ・テレビ)
- 周囲の反応を確認
- 避難の必要性を迷う
この間に動けないと、逃げ遅れの可能性が跳ね上がる。
日本も地震・津波・線状降水帯などで
同じ傾向が明確に確認されています。
■ 4. 世界の避難研究が推奨する“3ステップルール”
海外で実証されている「避難成功のための行動ルール」があります。
■ ① 迷ったら“避難側”で判断
→ 迷いが一番危険。
■ ② 必ず“近くの人に声をかける”
→ 人は仲間と一緒なら行動しやすい。
■ ③ 「想定外」を前提に動く
→ 過去データに頼りすぎない。
この3つは日本でも非常に有効。
■ 5. 日本が取り入れるべき避難心理のポイント
① 避難判断は「家族のルール」で決める
② 避難最優先の“合言葉”を作る(例:危なそうなら行く)
③ 想定外を前提としたマイタイムライン
④ 避難の練習は“時間を決めて”行う
⑤ SNSの誤情報に惑わされない仕組みづくり
日本は防災技術は進んでいますが、
“人の行動”に焦点を当てた対策はまだ強化の余地があります。
■ まとめ
避難行動心理学は、
世界の災害から生まれた“人の命を救う科学”です。
- 正常性バイアスが逃げ遅れの最大要因
- 家族の情報が行動を変える
- 運命を決めるのは最初の5分
- 迷ったら避難の3ステップルール
- 日本も“心理の防災”を強化すべき
防災は“心のクセ”を知ることで、
命を守る選択が圧倒的にしやすくなります。

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