日本では災害後に「復旧→復興」を進めるのが一般的ですが、
世界では今、もっと前の段階から準備する
事前復興(Pre-Disaster Recovery Planning / Build Back Better Before)
という概念が標準になりつつあります。
災害後に強い街を作るのではなく、
“災害前から復興計画を完成させておく”という考え方です。
■ 1. 災害前に“復興計画”を作っておく国が増えている
アメリカ・ニュージーランド・オーストラリアでは、
災害が起きる前に 復旧・復興の準備書類を完成させておく ことが一般化。
例
- 仮設住宅の配置図
- 道路・学校・病院の復旧優先順位
- 応急仮設の物資倉庫場所
- 復興に使う財源の確保
- 被災後のボランティア受け入れ計画
災害発生後にゼロから考えると、
大規模災害では“数週間の遅れ”が生じてしまうためです。
日本は計画はあるものの、
ここまで細かく事前に作り込む自治体はまだ多くありません。
■ 2. 復興の視点を“住民主体”に切り替える国が増えている
世界の事前復興は、住民を軸に組み立てます。
なぜなら、
復興の成功=住民の生活再建の速度
だからです。
海外では…
- 住民参加のワークショップ
- 地域ごとの復興マップを住民と作成
- 弱者(高齢者・障害者・子ども)の優先支援計画
- 移住を含めた生活再建の選択肢を事前に提示
災害後の混乱を最小限にするための準備が徹底されています。
■ 3. “復興後の未来”を先に描く国が増えている
世界の事前復興は、
災害前よりも その後の未来まで見据えた計画 を立てます。
例:
- 高台移転後の街の配置(学校・買い物・交通)
- 将来の人口減少を踏まえたコミュニティ設計
- 災害前より環境価値を高める“グリーン復興”
- 働く場所・産業の回復計画まで事前に想定
「元に戻す」では不十分で、
“前より良い街にする”を前提に災害前から準備
というのが世界基準。
■ 4. 日本が事前復興を取り入れるべき理由
① 南海トラフ・首都直下など巨大災害に備える必要がある
② 高齢化・人口減少が進んでおり、迅速な生活再建が必要
③ 避難所・仮設住宅の長期化リスクが高い
④ 企業が被災すると地域経済が崩壊する
⑤ 住民と行政の連携が復興スピードを左右する
特に日本では、
災害後の住む場所・働く場所の確保 が最重要課題。
事前復興はその解決策になります。
■ 5. まとめ
事前復興(Build Back Better Before)は、
世界で広がる“未来型の防災”です。
- 災害前に復興計画を完成させる
- 住民主体で生活再建のシナリオを作る
- 復興後の未来まで描いておく
- 災害の混乱期を最小化できる
- 日本にも必ず必要になる考え方
災害の多い日本こそ、
「復興は災害が起きる前から始まっている」
という世界基準を取り入れる価値があります。

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