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目次
1. はじめに:なぜ「外国人にも通じる防災」が今必要か
2. 現状分析:情報“届いていない”現場の課題
3. 最優先すべき4つの課題
4. 課題別の解決策&全国自治体事例
5. 技術×人×制度で作る「多言語防災共助モデル」
6. 実務者がすべきチェックリスト
7. 今後の展望・自治体としての未来戦略
8. まとめと行動呼びかけ
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- はじめに:なぜ「外国人にも通じる防災」が今必要か
• 訪日外国人・在留外国人は増加する一方で、日本は自然災害多発国。
• 訪日客は、地震や豪雨などの災害時に「正確な情報」が得られないと、パニックや誤った行動に繋がる可能性がある。
• 地元市民だけでなく、外国人も命を守る対象。「共助の輪」は地域住民全体を包む必要がある。
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- 現状分析:情報“届いていない”現場の課題
• 福岡市や大阪などの調査では、「言語の壁」「文化の違い」「心理的な不安」などから、外国人は災害情報を取得しにくい実態がある 。
• 多言語化対応している自治体はごく少数。避難所や公共施設の案内表示が多言語化されているのはわずか約3% ()。
• 「やさしい日本語」も一部自治体で使われ始めているが、スピーディな提供とは程遠く、専門用語が多い ()。
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- 最優先すべき4つの課題
- 多言語化と言語拡充
- “やさしい日本語”の導入
- 人的ネットワークと通訳サポート
- 現地技術の活用(アプリ・デバイス・リアルタイム翻訳)
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- 課題別の解決策&自治体事例
① 多言語化+補完用語拡充
• Fukuokaや京都などでは、英語・中国語・韓国語の避難ガイドを無料配布  。
• インバウンド対応アプリ『Safety Tips』は12言語対応で緊急速報+避難誘導情報を提供 。
• → 多言語+やさしい日本語併用+絵や地図等も併記するガイドを「ポケットサイズ配布」すると効果的。
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② やさしい日本語の標準化
• 福岡や呉では、「避難所」「緊急地震速報」など語彙を簡易化し、平常時から訓練で使用 ()。
• → 定型フォーマット(例:「○時にXX地区で地震がありました」→「△△地区、今すぐ安全な場所へ」)を作成し、即時対応できるよう備える。
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③ 人的ネットワーク+ボランティア育成
• 札幌や仙台では多言語ボランティアを災害拠点に配置し、コミュニティ支援と通訳を担う仕組みが動いている ()。
• → 自治体職員が留学生・住民代表と日常交流を重ねる「顔の見える関係づくり」が重要。短期的にはコミュニティランゲージリーダーの選定と普段の訓練で顔合わせを。
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④ 技術導入:リアルタイム翻訳・アプリ・AI
• 東京都などが「機械翻訳」を公式防災サイトに導入 。
• パナソニックの「メガホンヤク」など、多言語音声拡張装置も導入実績あり 。
• → 災害時自動翻訳と手書き指差しボードの併用は、通訳未配置時でも最低限の意思疎通を可能にする。
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- 技術×人×制度で作る「多言語防災共助モデル」
• 多層構造アプローチ:① 通信系:アプリ+機械翻訳、② 書面系:多言語パンフ+やさしい日本語、③ 対面系:多言語ボランティア・通訳支援
• 技術導入だけではなく、市民や職員の実践力と連携体制が真の力になる。
• 翻訳アプリの使い方訓練、防災訓練への外国人参加、市民と職員のワークショップなどが長期的戦略として有効。
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- 実務者チェックリスト
項目
内容
多言語対応
ガイド・マップの言語種類と配布体制の整備状況
やさしい日本語
支援情報・速報等の共通フォーマット化
ボランティア体制
多言語支援者登録、訓練・演習への参画率
技術活用
アプリ・翻訳機器・通訳装置の配備・運用訓練
評価・改善
災害想定訓練の成果分析と資料化、関係部署⇄市民への情報共有
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- 今後の展望・自治体としての戦略
- 官民連携による「観光・在住両対応」体制構築
- 地域特化+多言語化を両立した標準フォーマット化
- 技術×ヒューマンのハイブリッド防災モデルの構築
- 全国自治体間の横連携・共有MHUB構想
- SNS・メディア経由で多言語情報伝達力を強化
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- まとめ:外国人も「守るべき命」―防災共助は共創で伸びる
• 外国人を排除せず、“災害に強い共助社会”の構成要素として含むことこそが、未来型自治体の姿。
• 言語や文化の違いを超えて、共に「生き抜く力」を備える自治体づくりは、地域の安全性そのものを高める。
• 今回紹介した課題と解決策は、自治体単位でも民間連携でもすぐに取り組めるものばかり。
• まずは“小さな一歩”から。今日から始める「外国人も安心して避難できる地域づくり」で、命をつなぐ地域を実現しましょう。

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