国土交通省は、巨大地震への備えとして、病院・避難所・自治体庁舎などの災害拠点につながる水道管の耐震基準を引き上げる方針を固めました。2024年元日の能登半島地震で断水が長期化した教訓を踏まえた動きです。
これは単なる技術基準の改正ではなく、防災の考え方そのものが「復旧」から「機能維持」へ転換していることを意味します。
■① なぜ水道管の耐震基準が見直されるのか
能登半島地震では、
・広範囲で断水が発生
・復旧まで数週間〜数か月を要した地域も存在
・医療・避難所運営に深刻な影響
が生じました。
特に問題となったのは、
災害拠点につながる「一般配管」が大きな揺れに耐えられなかったことです。
■② 現行基準の限界
現在の水道管耐震基準では、
・多くの一般配管は「震度5強程度(レベル1)」対応
・「震度6強〜7相当(レベル2)」対応は
浄水場につながる基幹管路のみ
という構造でした。
つまり、
病院や避難所の手前で水道管が壊れれば、水は届かない
という弱点を抱えていたのです。
■③ 新基準で何が変わるのか
新たな耐震基準では、
・病院
・避難所
・自治体庁舎
といった重要施設につながる水道管も「レベル2耐震」が求められます。
具体的には、
・継ぎ目がずれにくい構造
・亀裂が入りにくい材質
・大きな揺れでも機能を保つ設計
への置き換えが進められます。
■④ 適用のタイミングと現実的な運用
・2025年春ごろ:省令改正
・2025年10月以降:新設管に義務化
・既存管路:更新・改修時に順次対応
となる予定です。
一気に全国を更新するのではなく、
現実的な更新計画とセットで進める制度設計になっています。
■⑤ 「水が出る」は命を守るインフラ
災害時、水が止まると、
・トイレが使えない
・医療行為が制限される
・感染症リスクが高まる
・避難所運営が破綻する
といった連鎖的な被害が発生します。
水道は
生活インフラではなく、命のインフラ
です。
■⑥ 防災の軸が「復旧」から「持ちこたえる」へ
これまでの防災は、
・壊れたら早く直す
・復旧体制を整える
が中心でした。
しかし今回の見直しは、
「壊れない」「止まらない」ことを前提にする防災
への明確なシフトです。
■⑦ 私たちの生活とどうつながるか
この動きは行政任せに見えますが、
・自宅周辺の水道管の耐震化状況
・避難所が本当に「機能する拠点」か
・断水時の生活を想定しているか
を考えるきっかけにもなります。
家庭の備蓄と、
インフラの耐災害力はセットで考える時代です。
■⑧ 現場経験からの実感
被災地では、
「水が出ないだけで、生活も心も一気に崩れる」
という場面を何度も見てきました。
水が出ることは、
安心が戻る最初の一歩です。
■まとめ|結論
結論:
水道管の耐震基準見直しは、「断水しない防災」への大きな一歩。命を守るインフラは、揺れの中でも機能し続けなければならない。
今回の制度改正は、
能登の教訓を全国の防災力へと昇華させる、重要な転換点です。

コメント