【防災士が解説】防災×働き方|2026年 労働基準法の大改正が「耐災害力」を左右する理由

災害に強い社会を考えるとき、多くの人は「備蓄」や「避難」を思い浮かべます。しかし実は、働き方と労働制度も防災に直結しています。
収入が安定しているか、休めるか、心と体が壊れていないか。これらはすべて、被災後に生活を立て直せるかどうかを左右する「耐災害力」の重要な要素です。

2026年に予定されている労働基準法の大規模改正は、単なる労務ルールの変更ではありません。
それは、災害に弱い働き方を是正し、人が壊れにくい社会構造に近づく改正でもあります。

ここでは、防災の視点から、今回の改正ポイントをわかりやすく整理します。


■① 有給休暇の賃金計算の統一

これまで有給休暇の賃金計算には複数方式があり、
・時給制
・勤務日数が少ない人
ほど不利になるケースがありました。

改正では、通常賃金に一本化される方向です。

これは、
・休むと収入が減る不安
・災害時に「休めない」心理的圧力
を減らす効果があります。

休める制度は、防災制度でもあります。


■② 法定休日の明確化

法定休日と法定外休日を企業が明確に定めることが義務化されます。

これにより、
・休日出勤の割増未払い
・災害対応で働いたのに正当な対価が出ない
といった問題が減少します。

災害時に踏ん張る人ほど、制度で守られる必要があります。


■③ 副業労働時間の扱い変更

これまで、副業をすると
「本業+副業=時間外扱い」
という曖昧さが、企業側の副業禁止につながっていました。

改正では、
本業と副業を別枠管理
する方向性が示されています。

これは、
・収入源を分散できる
・被災時に仕事を失っても立て直せる
という点で、極めて防災的です。


■④ 週44時間特例の廃止

一部業種に残っていた「週44時間労働」の特例が廃止され、
週40時間に統一されます。

長時間労働は、
・判断力の低下
・体力の消耗
・災害時のミス増加
につながります。

平時の疲労は、非常時に表面化します。


■⑤ 勤務間インターバル制度(11時間)

終業から次の始業まで、最低11時間空ける制度が導入されます。

これは、
・睡眠確保
・慢性疲労の防止
・メンタル不調の抑制
に直結します。

災害対応でもっとも危険なのは、疲れ切った状態での判断です。


■⑥ 管理職の勤怠管理義務化

「管理職だから残業代なし」を理由に、
長時間労働を強いられてきた実態への是正です。

管理職も含めた勤怠管理は、
・組織全体の健全性
・危機時の指揮能力
を守ります。


■⑦ つながらない権利の明文化

業務時間外の連絡に応答する義務がないことが、法的に整理されます。

これは、
・心の回復時間を確保する
・常時緊張状態を防ぐ
ための制度です。

心が壊れた人は、災害時に自分も他人も守れません。


■⑧ 労基法は形骸化するのか

制度ができても、
・知らない
・守られない
・罰則が弱い
という現実はあります。

しかし、それでも基準が示されること自体が重要です。
防災と同じく、制度は「使う側の理解」で初めて機能します。


■まとめ|防災の視点で見る労基法改正

今回の改正は、
・休める
・つながらない
・働きすぎない
・収入源を分散できる
社会への転換点です。

これはそのまま、耐災害力の底上げにつながります。


結論:
2026年の労働基準法改正は、働き方改革であると同時に「防災改革」である。

災害に強い人・家庭・社会をつくるために、
働き方の制度を「自分ごと」として理解しておくことが、これからの防災です。

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