【防災×終活】“その日”に備えるふたつの力。命と想いを守る、新しい備え方

▼はじめに|災害と死、どちらも“明日は我が身”

「明日は地震が来るかもしれない」
「明日は人生の終わりが訪れるかもしれない」

こう聞いて、あなたはどう思いますか?

自然災害も、人生の終わりも、自分の意思ではコントロールできない出来事。
だからこそ、事前の“備え”が何よりも大切になります。

今回は、その備えとして注目されるふたつの分野、

■「防災」
■「終活」

かけ合わせた新しい視点=「防災×終活」について、じっくり掘り下げていきます。

人生100年時代。
“もしも”に備えるだけでなく、“これから”をどう生きるかを考えるヒントにもなるはずです。

▼防災と終活の共通点とは?

まず、防災と終活には、実は多くの共通点があります。

共通点
防災
終活
目的
命・財産を守る
自分と家族の安心を守る
タイミング
災害が起こる前に備える
人生の終わりが来る前に備える
対象
自分、家族、地域
自分、家族、相続人
必要性
いざという時に差が出る
残される人に差が出る
感情
「まさか自分に起こるとは」
「まだ早いと思っていた」

どちらも「いつかは来るもの」なのに、後回しにされがちです。

でも、本当に大切なのは、“起きたあと”ではなく“起きる前”に行動しておくこと。

「防災×終活」は、命と想いのダブル備え。
そのメリットを、これから具体的に見ていきましょう。

▼「防災×終活」で得られる5つのメリット

① 命だけでなく、“想い”も守れる

避難所に逃げられたとしても、
• 整理していなかった通帳や不動産情報
• パスワードがわからないスマホ
• 家族が知らない“意思表示”

こうした情報が失われると、その後の人生設計に大きな影響を与えることがあります。

例:
• 認知症で意思が伝えられない
• 災害で突然亡くなり、相続が混乱
• 災害時の医療希望(延命治療など)が不明

つまり、災害や死が「突然来たとき」に備えることで、物理的な命+精神的な安心の両方を家族に残すことができます。

② 生前整理=非常持ち出しの合理化につながる

防災士としてもよく伝えているのが、「非常持ち出し袋は“命の優先順位”を表す」ということ。

終活の一環で「生前整理」をしておけば、非常持ち出し袋も自然とスリムになります。
• 「本当に必要なもの」が見えてくる
• 「思い出の品」はデジタル化で保存
• 「紙の通帳」はネットバンキングへ移行

こうした行動は、防災にも、終活にも、有効なのです。

③ デジタル終活=災害時の情報アクセスを守る

スマホひとつで
• 通帳
• 証券口座
• マイナンバー
• 写真
• 連絡先
などが管理されている今、「スマホを失うこと」は“もうひとつの災害”とも言えます。

【防災×終活の対策例】
• スマホのロック番号を信頼できる家族に伝える
• パスワード管理ノートを残す
• データをクラウドにバックアップ

デジタル資産の整理は、家族の混乱防止+緊急時の回復力向上に直結します。

④ 「人生会議(ACP)」で医療や介護に備えられる

「人生の最期、どうありたいか」を元気なうちに考える「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」。

防災時にも、「命をつなぐ判断」を家族に託す場面は多々あります。
• 延命治療をするか否か
• 救急搬送を希望するか
• 自宅療養か、施設入所か

この判断を迷わせないためにも、
終活で自分の意思を明確にし、文書や口頭で家族に伝えておくことが、災害医療の現場でも生きるのです。

⑤ 家族への“負担”を減らせる

災害で亡くなる、突然の事故や病で倒れる──
そんなとき、遺された家族が最も困るのは「何がどこにあるか、何をどうすればいいか分からない」という状態です。

エンディングノートに
• 保険・年金・口座情報
• 所有資産・不動産
• SNSやサブスクの情報
• ペットの世話の引継ぎ

などを書いておくと、緊急時や災害時でも、家族の不安と混乱を最小限に抑えることができます。

▼こんな人こそ、「防災×終活」を始めてほしい
• 遠方に家族が住んでいる高齢者
• 単身で暮らしている方(中高年、若年問わず)
• 子どもに迷惑をかけたくないと考えている人
• 既に災害を経験した人
• 認知症リスクに備えたい人

「年齢」や「状況」ではなく、“意識”があるかどうかが何より大事です。

▼「防災×終活」を始めるステップ

STEP1|エンディングノートを準備する

紙でもデジタルでもOK。
「防災」の観点からも、携帯しやすい小冊子やアプリ形式が人気です。

書く内容は以下の通り:
• 基本情報(氏名・住所・家族)
• 緊急連絡先
• 医療・介護の希望
• 財産の情報(預貯金、保険、証券、不動産)
• ログインIDやパスワード管理
• 葬儀や供養の希望
• ペットの世話
• 家族へのメッセージ

まずは「自分が知られたくないこと」より、「自分が伝えておきたいこと」を優先して書いていきましょう。

STEP2|非常用持ち出し袋と重ねて点検する

終活で見直した持ち物・情報は、非常用持ち出し袋の中身にも影響します。
• 薬の情報 → お薬手帳をコピーして入れておく
• 通帳や保険 → 写真を撮ってパスワード付きUSBに
• メッセージや遺言 → デジタル保管+紙の控え

命を守る備えと、人生を整える備えがリンクする瞬間です。

STEP3|家族と「もしも」の会話をしてみる

防災も終活も、家族との対話が要です。
• 災害時、どこで落ち合うか
• 延命治療はどうしたいか
• 財産の分け方は?
• デジタル遺品、どうしておいてほしいか

「ちょっと縁起でもないかもしれんけど…」と切り出してもOK。
一度話すだけで、家族はどれだけ救われるか分かりません。

▼まとめ|「備える人」は、最後まで自分らしく生きられる

「防災×終活」は、単なる準備ではありません。

それは、
• 自分を大切にする姿勢であり、
• 家族を想うやさしさであり、
• 未来を生き抜くための選択肢でもあります。

今はまだ元気なあなたも、
いつか必ず“その日”を迎える日がきます。

だからこそ、
いま始めることで、「自分らしい最期」「納得のいく人生」を迎える準備ができる。

そして、あなたが残した“備え”が、家族の未来を守るのです。

関連リンク・資料
• 防災士研修センター|防災手帳・備えチェックリスト
• 厚生労働省|人生会議(ACP)
• 終活カウンセラー協会
• 東京防災(東京都)
• 日本デジタル終活協会

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