【防災士が解説】防災×山火事|相次ぐ林野火災と「火の生態学(ファイヤー・エコロジー)」から見える本当の課題

新年早々、
各地で山火事(林野火災)が相次いでいます。

「最近、山火事が増えている」
そう感じる人も多いでしょう。

しかし実態を見ると、
件数は減っているのに、大規模化している
という、別の問題が浮かび上がります。


■① 山火事が起きやすい条件とは

日本で山火事が多発するのは、
主に 冬〜春先 です。

共通する条件は次のとおり。

・降水量が少ない
・空気が乾燥している
・強風が吹きやすい

この条件が重なると、
自治体は 林野火災注意報・警報 を発令します。

2025年からは、
市町村が独自に発令できる制度に変わりました。


■② 日本の山火事の原因は「人」

世界では、
・雷など自然発火
が多い地域もあります。

しかし日本の山火事は、
ほとんどが人的要因 です。

・焚き火
・火入れ(野焼き)
・タバコの不始末
・屋外での火遊び

つまり、
防げる火災が多い
というのが日本の特徴です。


■③ 件数は減少、でも大規模化する理由

実は、
日本の山火事件数は
長期的には減少しています。

1960〜70年代
→ 年間7000件以上

近年
→ 年間1200〜1300件程度

それでも被害が大きく見えるのは、
一件あたりの焼失面積が拡大している
からです。


■④ 可燃物が「溜まりすぎた山」

火の生態学(ファイヤー・エコロジー)では、
こう考えます。

・小規模火災が頻発
→ 可燃物が燃えて減る
→ 大火になりにくい

・長期間、火が入らない
→ 落葉・落枝・枯草が蓄積
→ 一度燃えると一気に拡大

かつて日本では、
・薪利用
・落ち葉採取
・里山管理
が日常でした。

それが、
山の可燃物を減らす役割
を果たしていたのです。


■⑤ 海外で注目される「管理された山火事」

海外では、
あえて小規模な火入れを行う
コントロールド・ファイヤー
が注目されています。

・先住民の知恵
・森林管理の一環
・大規模火災の予防

日本でも、
かつては結果的に
同じ効果が働いていた
可能性があります。


■⑥ 焼け跡は「不毛の地」ではない

山火事の後、
「すぐ植林すべき」
という声が上がりがちです。

しかし実際は違います。

・土中は意外と高温にならない
・地下の種子や地下茎は生き残る
・灰が栄養になる
・日光が入りやすくなる

火を前提に進化した植物や菌類も存在します。

焼け跡は、
再生の条件が揃った場所
でもあるのです。


■⑦ 防災の視点で重要なこと

火の生態学が教えてくれるのは、
「火=悪」ではなく、

・どう起きるか
・なぜ拡大するか
・どう向き合うか

を知る重要性です。

そして日本では特に、
人の行動が被害を左右する
という現実があります。


■⑧ まとめ|山火事は「知る防災」が効く

・日本の山火事は人的要因が多い
・件数は減っているが大規模化している
・可燃物の蓄積が拡大要因
・焼け跡は再生の力を持つ
・正しい知識が対策につながる

危機を煽るだけでは、
防災にはなりません。

山火事の仕組みを知ることが、
本当の減災への第一歩
です。

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