災害が発生すると、多くの避難所では「何が足りないのか分からない」「どこから配ればいいのか判断できない」という混乱が起きます。これは物資が不足しているというより、備蓄の考え方と優先順位が整理されていないことが原因です。避難所備蓄は“量”だけでなく“使い方”まで含めて設計する必要があります。
■① 避難所備蓄の基本的な考え方
避難所備蓄の基本は「最初の72時間を全員が耐えられること」を目的に設計することです。発災直後は外部支援が届かず、職員や地域住民だけで運営を回す状況になります。この期間を乗り切れる備蓄があるかどうかが、その後の混乱の大きさを左右します。
■② 最低限そろえるべき備蓄品の分類
避難所備蓄は大きく分けて「水・食料」「トイレ・衛生」「寝具・生活」「医療・安全」「情報・運営」の5分類で考えます。特に不足しやすいのはトイレ関連と衛生用品で、後回しにすると環境悪化が一気に進みます。
■③ 人数ベースで考える数量目安
備蓄量は「想定避難者数×日数」で算出します。水は1人1日3リットル、簡易トイレは1人1日5回分が目安です。食料は温め不要・調理不要のものを中心に、最低3日分を確保しておくことが重要です。
■④ 現場で本当に不足しやすい物資
現場では、ウェットティッシュ、ゴミ袋、使い捨て手袋、簡易照明、延長コードなどが想像以上に不足します。これらは目立たない備品ですが、避難所運営を支える「縁の下の力持ち」です。
■⑤ 初動対応を支える運営備蓄
名簿、筆記具、掲示用紙、養生テープなどの運営用品も重要です。物資があっても配布や管理ができなければ意味がありません。運営視点の備蓄があるかどうかで、避難所の秩序は大きく変わります。
■⑥ 備蓄と実際の避難行動のズレ
多くの避難所では「備蓄はあるが使い方が分からない」「鍵が見つからない」という事態が起きました。備蓄は置いて終わりではなく、誰がどのタイミングで使うかを事前に決めておく必要があります。
■⑦ 最低限備蓄で最大効果を出す工夫
すべてを完璧にそろえるのは現実的ではありません。だからこそ「兼用できる物」「複数用途に使える物」を選ぶことが重要です。例えば大型ブルーシートは、間仕切り・床養生・雨除けに使えます。
■⑧ 現場経験から見た備蓄の優先順位
実際の避難所では、食料より先にトイレと衛生が問題になります。ここを軽視すると体調悪化や災害関連死につながります。防災士として強く感じたのは、「命を守る備蓄」と「生活を支える備蓄」は別物だという点です。
■まとめ|避難所備蓄は“数”より“設計”が命
避難所備蓄は、単に物資を積み上げることではありません。誰が、いつ、どこで、どう使うのかまで考えた設計があって初めて機能します。
結論:
避難所備蓄は「72時間を乗り切る設計」と「運営目線の優先順位」が最重要です。
防災士として現場に立った経験から、備蓄が機能した避難所ほど事前の整理と想定が徹底されていました。

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