【元消防職員が解説】防災×実災害想定の消防訓練|現場経験から見えた「想定の深さ」が生死を分ける理由

実災害を想定した消防訓練は、訓練の中でも最も価値が高い一方で、設計を誤ると形骸化しやすい分野です。現場では「想定していたかどうか」で判断速度と安全性が大きく変わる場面を何度も見てきました。ここでは、実際の災害対応で役に立った視点を踏まえ、実災害想定訓練の本質を整理します。


■① 実災害想定訓練は「正解がない」前提で行う

実災害には台本がありません。にもかかわらず、訓練で正解ルートを用意しすぎると、職員は考えなくなります。現場では、状況を見て判断する力こそが生死を分けると実感してきました。


■② 現場で役に立ったのは曖昧な情報への対応力

実災害では、情報は断片的で食い違うことが多くあります。訓練で「情報が不完全な状態」を再現しておくことで、現場での混乱を最小限に抑えられました。情報が揃うまで待たない判断が重要です。


■③ 想定外を組み込む訓練が判断力を鍛える

途中で天候が悪化する、住民の行動が想定と違う、資機材が使えないなど、想定外を意図的に入れた訓練は効果的でした。現場経験から、こうした訓練を重ねた職場ほど初動が早い傾向がありました。


■④ 指揮系統が試されるのは実災害想定訓練

実災害想定訓練では、個人技術よりも指揮命令と情報共有の質が問われます。現場では、指揮が明確な隊ほど安全かつ効率的に動けていました。訓練は指揮者育成の場でもあります。


■⑤ 現場で見た「想定不足」が招いた判断遅れ

過去の災害対応では、想定していなかった事態に直面し、判断が遅れた場面を経験しました。訓練で一度でも考えたことがあるかどうかが、現場での一歩目を左右します。


■⑥ 安全管理を最優先にした想定設計

実災害を想定するからといって、訓練中の無理は禁物です。安全管理を徹底しつつ、心理的な緊張感を再現する工夫が必要です。現場では、このバランスが取れた訓練ほど学びが深いと感じてきました。


■⑦ 振り返りで「なぜ」を共有する

訓練後は、結果よりも判断理由を振り返ることが重要です。なぜその判断をしたのかを共有することで、他の職員の引き出しが増えます。現場経験からも、この共有が次の現場で生きていました。


■⑧ 実災害想定訓練が消防力を鍛える

実災害想定訓練は、時間も労力もかかりますが、その価値は大きいです。想定の深さが、現場での迷いを減らし、結果として命を守ります。実災害に近い訓練こそが、消防力の土台になります。

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