土砂災害の救助は、消防活動の中でも特に危険性が高い分野です。助けたい気持ちが強いほど、無理な進入判断をしがちになります。現場経験を通じて実感してきたのは、「どう救助するか」以上に「どこまで近づくか」の判断が生死を分けるという事実です。
■① 土砂災害救助の前提は「二次災害を起こさない」
土砂災害現場では、一次災害より二次災害の方が致命的になることがあります。現場では、救助開始前の安全確認と活動制限が最も重要だと感じてきました。
■② 現場で実感した地盤の不安定さ
豪雨災害の現場では、見た目は安定していても一歩踏み込んだだけで地盤が崩れる場面を経験しました。土砂災害救助訓練では、この「見えない危険」を前提に行動する意識づけが欠かせません。
■③ 救助より先に行うべき情報収集
斜面の状態、雨量、上流の地形、過去の崩落履歴など、救助前に集める情報は多岐にわたります。現場経験から、情報収集を丁寧に行った現場ほど、活動が安全に進んでいました。
■④ 人力に頼りすぎない判断
土砂災害現場では、人力での掘削は危険を伴います。過去の現場でも、重機や遠隔機材の投入判断を早めたことで、隊員の危険曝露を減らせたケースがありました。
■⑤ 現場で見た無理な進入の危うさ
「声が聞こえる」「すぐそこにいる」という状況ほど、判断は揺らぎます。現場経験から、感情を一度抑え、全体を見て判断できた現場ほど、結果的に救助が成功していました。
■⑥ 訓練で磨くべきは「待つ判断」
土砂災害救助訓練では、あえて「すぐに救助できない状況」を想定することが重要です。待つ、引く、別手段を選ぶ判断を訓練で経験しておくことが、実災害で隊員を守ります。
■⑦ 連携機関との役割分担を明確にする
土砂災害では、消防単独での対応には限界があります。警察、自治体、重機業者との連携を想定した訓練が、現場での混乱を防ぎます。
■⑧ 土砂災害救助訓練は「判断力」を鍛える訓練
土砂災害救助は、技術よりも判断力が問われます。訓練を通じて「やらない勇気」を養うことが、隊員と住民、双方の命を守る消防力につながります。

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