消防団は地域防災の要でありながら、若年層の入団が年々難しくなっています。
消防職員として現場に立ち、団員と行動を共にしてきた立場から見ると、原因は「意識の低さ」ではなく、構造と伝え方のズレにあります。
■① 「時間を奪われる組織」に見えている
若者が最も気にするのは、
・いつ呼ばれるか分からない
・どれくらい拘束されるのか不明
・断りにくそう
という“時間の不透明さ”です。
災害現場でも、見通しが立たない活動ほど人は疲弊します。
若者にとって「予定が立てられない」は最大のリスクです。
■② 生活スタイルの前提が合っていない
従来の消防団は、
・地元勤務
・実家暮らし
・夜間も地域にいる
という前提で成り立ってきました。
しかし現在は、通勤・転勤・副業・在宅勤務など、生活が流動的です。
現場で見ても、生活背景を無視した運営ほど継続率が低いのが現実でした。
■③ 「昭和の空気」を感じ取ってしまう
若者が敬遠する理由として多いのが、
・上下関係が厳しそう
・飲み会が多そう
・理不尽な慣習がありそう
という“空気感”です。
実際は改善されている分団も多いですが、
一部のイメージが全体を代表してしまっています。
■④ 貢献の実感がイメージできない
若者は「役に立ちたい」という気持ちを持っています。
しかし消防団の説明では、
・何をするのか
・どんな場面で役立つのか
・自分が入る意味
が具体的に語られないことが多い。
災害現場では、
自分の役割が分かっている人ほど動きが安定します。
これは入団判断でも同じです。
■⑤ 「断れない組織」に見えている
若者は組織選択で、
・辞めにくくないか
・途中で負担が増えないか
・無理を強いられないか
を非常に気にします。
現場経験上、
「無理しなくていい」と明言されている組織ほど、実は人が残ります。
■⑥ 責任だけが強調されている
・命を守る
・地域を背負う
・責任が重い
という言葉は正しいですが、
若者にとっては「失敗できない」「重すぎる」と映ります。
災害対応でも、
責任を一人に集中させると判断ミスが増えるのと同じ構造です。
■⑦ 若者向けの入口が設計されていない
いきなり、
・正規団員
・全訓練参加
・全行事参加
を求めると、ほとんどの若者は引いてしまいます。
現場で有効だったのは、
見学・限定参加・役割限定といった“段階的な関与”でした。
■⑧ 若者は「意味」と「選択肢」を求めている
若者が敬遠しているのは消防団そのものではなく、
・選べないこと
・説明されないこと
・納得できないこと
です。
意味が分かり、選択肢があれば、参加意欲は大きく変わります。
■⑨ 今日できる最小行動
今日できる行動は一つ。
「若者が一番不安に思う点を一つ言語化して、先に答える」
敬遠は拒否ではなく、
情報不足と不安の結果です。

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