消防団の女性団員を増やそう、という話は長年続いています。
しかし現場で見てきた限り、「制度を整えたのに増えない」地域が多いのが現実です。
理由は単純で、
入りにくさの正体は「制度不足」ではなく、空気と運用にあります。
■① 制度はあっても「使っていい雰囲気」がない
多くの自治体では、
・女性団員制度
・女性専用装備
・更衣室の確保
など、形式上の整備は進んでいます。
しかし現場では、
「使うと気を遣わせる」
「迷惑に思われそう」
という無言の圧が存在します。
制度があっても、
使う側が遠慮する空気では意味がありません。
■② 入団説明が“男性基準”のまま
入団説明でよくあるのが、
・体力的に大丈夫か
・夜間出動がある
・重い資機材を扱う
といった話が前面に出るケースです。
これでは、
「私には無理そう」と感じるのが自然です。
現場では実際、
すべての団員が同じ役割を担っているわけではありません。
その説明がされていないことが、
最初の壁になります。
■③ ロールモデルが見えない
女性が入りにくい分団ほど、
・女性団員が少ない
・いても表に出てこない
・役割が限定的
という状況があります。
「自分がどうなるのか想像できない」組織には、
人は入りません。
■④ 無意識の言動が壁を作っている
現場で実際に耳にした言葉があります。
・「女の人には大変だよ」
・「無理しなくていいよ」
・「力仕事はやらなくていいから」
善意のつもりでも、
線を引かれている感覚を生みます。
結果として、
「最初から対等じゃない」
と感じ、距離が生まれます。
■⑤ 活動内容が生活実態と合っていない
特に多いのが、
・夜間の会合
・長時間の拘束
・直前連絡
現代では、
・仕事
・育児
・介護
を同時に抱える女性も多く、
柔軟性のない運用そのものが障壁になります。
■⑥ 「女性向け」にしすぎるのも逆効果
一方で、失敗例もあります。
・女性専用活動を切り出しすぎる
・補助的役割に固定する
これでは、
「本流から外れている」
と感じさせてしまいます。
大切なのは、
性別ではなく役割の選択肢を増やすことです。
■⑦ 入団後のフォローが想定されていない
現場で離脱が起きやすいのは、
・最初は歓迎される
・途中から放置される
というケースです。
相談先が分からない
不安を口にしにくい
この状態が続くと、
静かに辞めていきます。
■⑧ 現場からの結論
女性が消防団に入りにくい理由は、
・やる気がないから
・体力がないから
ではありません。
「入っても大丈夫だと思える設計と空気がない」
これが最大の理由です。
女性を増やしたいなら、
募集文言より先に、
・説明の仕方
・日常の言動
・運用の柔軟性
を見直す必要があります。
それができた分団では、
自然と女性団員は定着しています。

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