消防団を途中で辞める団員は、最初から意欲が低かったわけではありません。
むしろ、多くは「地域の役に立ちたい」という強い思いを持って入団しています。
それでも退団に至る背景には、現場で共通して見えてくる理由があります。
■① 「想像していた活動」と現実のズレ
途中退団で最も多いのが、
入団前のイメージと実際の活動内容のギャップです。
災害対応や人命救助を想像していたのに、
実際は行事準備や形式的な訓練が中心。
このズレが修正されないまま続くと、
「自分がここにいる意味」を見失います。
現場でも、
「思っていたのと違った」
という声は退団理由として非常に多く聞きました。
■② 仕事・家庭との両立が限界を迎えたとき
途中退団の多くは、
気持ちよりも生活側の限界が原因です。
・急な招集
・平日夜の訓練
・休日が潰れる行事
これが続くと、
職場や家族への負担が確実に蓄積します。
消防職員として関わった中でも、
「家族にこれ以上迷惑をかけられない」
という理由で退団する団員は少なくありませんでした。
■③ 頑張る人ほど辞めていく構造
皮肉なことに、
途中退団しやすいのは真面目な団員です。
・頼まれると断れない
・責任感が強い
・穴を埋めようとする
結果として負担が集中し、
燃え尽きるように辞めていきます。
一方で、無理をしない人ほど残るという
歪んだ構造が生まれることもあります。
■④ 「誰にも相談できない」孤立感
退団前の団員に共通するのが、
悩みを打ち明けられない状態です。
・弱音を吐きにくい
・辞めたいと言い出せない
・不満を言うと迷惑だと思ってしまう
現場では、
退団届が出て初めて本音を聞くことも多く、
もっと早く声を拾えていればと感じる場面が何度もありました。
■⑤ 活動の中で「成長」を感じられなくなった
消防団活動は長く続くほど、
慣れとマンネリが生まれます。
・同じ訓練
・同じ役割
・同じ顔ぶれ
ここに学びや変化がなければ、
「続ける理由」が弱くなっていきます。
成長実感がない状態は、
退団を後押しする大きな要因です。
■⑥ 決定打になる「小さな一言」
途中退団の引き金は、
意外と些細な一言であることが多いです。
「それくらい普通だろ」
「できないなら辞めればいい」
現場では、
この一言で気持ちが完全に折れた団員を何人も見てきました。
■⑦ 退団は「逃げ」ではない
重要なのは、
途中退団=無責任ではないという視点です。
無理を重ねて心身を壊す前に、
身を引く判断が必要な場面もあります。
消防団を守るためにも、
「辞めなくて済む環境づくり」と同時に、
「無理をさせない判断」も尊重されるべきです。
■⑧ 結論
団員が途中退団する理由は、
個人の問題ではなく、組織の設計にあります。
・期待値のすり合わせ
・負担の分散
・相談しやすい空気づくり
これが整えば、
途中退団は確実に減らせます。
「なぜ辞めたのか」を個人に求める前に、
「なぜ続けられなかったのか」を組織として考えることが、
これからの消防団に必要な視点です。

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