女性消防団員の必要性は広く認識されるようになりましたが、
「募集しても集まらない」「入っても続かない」という声は今も多く聞かれます。
被災地対応や各地の消防団運営を見てきた立場から言うと、
女性団員の入団促進がうまくいっている地域には、共通した“現場設計”があります。
■① 「女性向け」と強調しすぎない
失敗しやすい例は、
- 女性限定を前面に出しすぎる
- 特別扱いを強調する
- 「優しい活動」だけを押し出す
成功している地域では、
「一人の団員として必要」という立て付けが自然です。
▶ 実例:長野県上田市の取組
混成チームで防災訓練に参加。性別を区切らず、機材搬送・避難誘導・記録を担当した結果、女性団員数が2年で約1.5倍に増加。
■② 最初の役割は“得意分野”から
定着している分団では、
- 広報・記録
- 避難所支援
- 要配慮者対応
- 地域イベント運営
本人の強みを生かした役割からスタート。
▶ 実例:熊本県宇城市の事例
新入団員に広報活動を任せ、SNS更新や防災イベント運営で存在感を発揮。地域全体の参加率も向上。
■③ 訓練・出動の参加条件を明確にする
- 夜間出動は原則任意
- 危険区域への立ち入り基準
- 参加しない選択が尊重される
▶ 実例:宮城県東松島市
災害対応方針に「女性団員は避難所支援を優先」と明記。心理的負担を減らし、入団後3年以上継続する団員が多数。
■④ 更衣・装備・環境面を後回しにしない
離脱理由で多いのは、
- 更衣場所がない
- 装備が合わない
- 休憩やトイレの配慮不足
▶ 実例:岐阜県高山市
女性更衣スペースを確保し、防火服のサイズ展開を導入。声を聞く日を設けたことで満足度改善。現場でも活動がスムーズに。
■⑤ 「理解のある幹部」が最大の鍵
成功している分団には、
- 話を聞く
- 無理をさせない
- 周囲との調整役になる
▶ 実例:福岡県糸島市
分団長が定期的に懇談会を開催。離脱者ほぼゼロ。制度よりも“人”が大きく影響。
■⑥ 活躍を「特別扱い」ではなく「共有」する
失敗例:
- 女性だから注目する
- 象徴的に持ち上げる
▶ 実例:徳島県阿南市
広報誌では「地域の防災担い手特集」として男女混在記事を掲載。自然な形で認知が広がる。
■⑦ 「辞めやすさ」が「入りやすさ」になる
- 辞めても責められない
- 家庭や仕事優先が当たり前
- 再参加できる空気
▶ 実例:新潟県新発田市
「休団制度」を導入し、出産や転勤後も再加入可能。再参加率40%以上。災害対応後の心のケアと同じ考え方。
■⑧ まとめ:女性団員は“増やす”より“残す”
目的は数を増やすことや目立たせることではなく、
- 無理なく関われる
- 役割が明確
- 安心して続けられる
この環境を整えた結果、自然に増加。現場経験からも、再現性の高い方法と断言できます。

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