【元消防職員が解説】江戸走りは避難行動に使えるのか|防災×走り方

近年SNSで話題となった「江戸走り」。
一見するとコミカルな走り方ですが、実はこの走法には、防災・避難行動の視点で見逃せない要素があります。

災害時、人は長く・安全に・疲れずに動けるかどうかが生死を分けます。
江戸走りは、その条件に一部合致する走法でもあります。


■① 江戸走りとは何か

江戸走りは、江戸時代の飛脚や忍者の動きを現代的に再構成した走法です。
古文書や浮世絵の研究をもとに考案され、2025年にSNSをきっかけに爆発的に広まりました。

特徴は、同じ側の手足を同時に出し、体をやや前傾させ、重力を利用して進む点にあります。


■② 一般的な走り方との違い

一般的なランニングは、地面を強く蹴り、筋力で前に進みます。
一方、江戸走りは地面を蹴りすぎず、脱力した姿勢で重心移動を重視します。

結果として、
・脚への衝撃が少ない
・呼吸が乱れにくい
・長時間動きやすい
という特徴が生まれます。


■③ 江戸時代の飛脚と持久力

江戸時代の飛脚は、1日に100km以上を移動した記録も残っています。
彼らは現代のランニングシューズも補給食も持っていませんでした。

それでも長距離を走れた理由は、筋力ではなく「体の使い方」にありました。
江戸走りは、その合理的な身体操作を再現したものです。


■④ 防災・避難行動との共通点

災害時の避難では、全力疾走は長く続きません。
むしろ、
・瓦礫を避けながら
・周囲を確認し
・体力を温存しつつ移動する
ことが重要です。

江戸走りの「脱力」「重心移動」「疲れにくさ」は、避難行動の考え方と一致します。


■⑤ 夜間・長距離避難での可能性

夜間避難や津波避難、広域災害では、想定以上に移動距離が伸びることがあります。
その際、無理な走り方は転倒や怪我につながります。

江戸走りのような省エネな動きは、
・足をもつれにくく
・息が上がりにくく
・周囲を見ながら進める
という点で、長距離移動に向いています。


■⑥ ナンバ走りとの違い

江戸走りは、ナンバ走りと混同されがちですが完全には同じではありません。
ナンバ走りが「同側の手足を同時に出す歩行」に近いのに対し、
江戸走りは、より半身姿勢でスピードと移動効率を高めています。

避難ではスピードと安定性の両立が求められるため、この違いは重要です。


■⑦ 現代で注目される理由

SNSでは横方向に走る「横走り」が注目され、若年層を中心に拡散しました。
一方で、ランナーの間では、ハーフマラソンのタイム向上や疲労軽減といった実用的な評価も出ています。

娯楽として広まった一方、身体操作としての合理性が再評価されています。


■⑧ 防災視点での結論

江戸走りは、そのまま避難マニュアルになるものではありません。
しかし、
「力で逃げない」
「疲れない動き方を知っておく」
という考え方は、防災において非常に重要です。

災害時、最後にものを言うのは体力の“残り”です。
江戸走りは、避難行動を考える一つのヒントとして、知っておいて損はありません。

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