避難所生活で意外と見落とされがちなのが「砂埃(すなぼこり)」です。
被災直後は命を守る行動が最優先となるため、空気環境まで気が回らないことが多くあります。
しかし現場では、この砂埃が体調不良や持病悪化の引き金になるケースを何度も見てきました。
■① 避難所で砂埃が発生する理由
多くの避難所は体育館や公民館です。
床は土足禁止でも、以下の理由で砂埃が発生します。
・被災時の瓦礫や土砂が靴や衣類に付着
・人の出入りが多く床が乾燥する
・掃除や換気が十分にできない
人が歩くだけで、床に溜まった細かな土や埃が空気中に舞い上がります。
■② 砂埃が健康に与える影響
砂埃は単なる「汚れ」ではありません。
目に見えないほど細かい粒子が、体内に入り込みます。
・喉や鼻の炎症
・咳、くしゃみ、目のかゆみ
・喘息やアレルギー症状の悪化
特に高齢者、子ども、持病のある人には大きな負担となります。
■③ マスクが不足する初期段階の現実
災害初期は、マスクや衛生用品が十分に行き渡らないことがあります。
配布が始まるまで数日かかることも珍しくありません。
その間、砂埃を直接吸い込む環境で生活することになり、
知らないうちに体調を崩してしまう人もいます。
■④ 床に近いほどリスクは高い
砂埃は空気中を漂いますが、特に床付近に多く溜まります。
避難所では、床に直接座ったり、寝たりする場面が増えます。
結果として、
・顔の位置が低くなる
・呼吸する空気が汚れやすい
という状態になります。
■⑤ 簡単にできる現実的な対策
完璧な対策は難しくても、できることはあります。
・マスクやタオルで口と鼻を覆う
・床に直接座らず、敷物を使う
・可能な範囲で換気を行う
・衣類や寝具をこまめに払う
「完全防御」ではなく「吸い込む量を減らす」意識が重要です。
■⑥ 子どもと高齢者への注意点
子どもは床に近く、高齢者は呼吸器が弱い傾向があります。
本人が不調を訴えにくい場合もあります。
・咳が増えていないか
・目を頻繁にこすっていないか
・呼吸が苦しそうでないか
周囲が気づいてあげることが大切です。
■⑦ 長期避難で問題が深刻化する
避難生活が長引くほど、掃除不足や換気不足が重なります。
砂埃は少しずつ蓄積し、慢性的な不調につながります。
「命に関わらないから後回し」ではなく、
生活環境としての安全も守る視点が必要です。
■⑧ 防災として知っておくべき視点
砂埃は派手な被害ではありません。
しかし、確実に体力と健康を削ります。
避難所では、
「見えないリスクを減らす」
「不調の芽を早めに摘む」
ことが、防災の一部です。
砂埃対策は、小さな行動で大きな差が出る備えの一つです。

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