【防災士が解説】慢心が招く災害リスクと思いのままにならない現実|防災×判断力

防災において最も危険なのは、自然そのものよりも「人の慢心」です。新年早々に明らかになった浜岡原発の耐震検討問題は、防災の本質を改めて問いかけています。


■① 防災は「思い通りにならない」ことが前提

関西大学の一井康二教授は、防災の根幹として「思いのままにならぬことを理解する重要性」を指摘しています。

自然災害は、人間の都合や期待とは無関係に発生します。地震・津波・洪水は、コントロールできない存在であり、防災はその不確実性を前提に組み立てられるべきものです。


■② 白河上皇の言葉に見る防災の本質

白河上皇が嘆いた「思いのままにならない三つのもの」
・鴨川の水(自然災害)
・賽の目(偶然・確率)
・山法師(外部要因)

この中で、防災に直結するのは「鴨川の水」と「賽の目」です。自然は制御できず、その影響を評価する確率論も、人の意思で操作できるものではありません。


■③ 耐震設計における「賽の目」

耐震設計では、将来発生する地震動を予測するため、確率論的手法が用いられます。これはサイコロを振るように、無数の可能性を想定し、その中から代表的なケースを抽出する考え方です。

今回問題となったのは、本来ランダムであるべき「賽の目」を、人為的に選別した点にあります。


■④ 捏造ではなく「慢心」

今回の事案は、存在しないデータを捏造したわけではありません。しかし、数多くのシミュレーション結果の中から「都合の良い結果」を選び出したことが問題の本質です。

「これくらいなら大丈夫だろう」
「極端なケースは起きないはずだ」

こうした慢心が、防災の前提条件を崩していきます。


■⑤ なぜこの行為が危険なのか

自然災害は、人間の希望的観測を裏切る形で発生します。

「確率が低い」
「前例がない」
「想定外だった」

これらは、過去の大災害で繰り返し使われてきた言葉です。防災は「最悪を想定する勇気」がなければ成り立ちません。


■⑥ 防災に必要な姿勢とは何か

防災で最も重要なのは、
・自然を過信しない
・技術を過信しない
・自分の判断を疑う

という姿勢です。制御できないものを、制御できると思い込んだ瞬間、防災は崩れ始めます。


■⑦ 今日できる防災の判断

防災は特別な知識や設備だけで成り立つものではありません。

・不確実性を受け入れる
・「想定外」を前提に考える
・都合の良い判断を疑う

この姿勢を持つことが、最も基本的で、最も重要な防災行動です。


防災とは、自然に勝つことではありません。
自然は思いのままにならないと認めること。
その謙虚さこそが、命を守る第一歩です。

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