令和7年12月11日、「火災時における救助活動対応能力の向上」をテーマに、第28回全国消防救助シンポジウムが開催されました。本シンポジウムは会場とオンラインを併用したハイブリッド方式で行われ、全国から多数の消防関係者が参加し、現場の安全と救助力向上について深い議論が交わされました。
■① 全国規模で共有された「救助安全」の重要性
会場約900名、オンライン14,000名以上という参加規模は、火災時救助における安全確保が全国共通の最重要課題であることを示しています。資機材展示ブースの設置も含め、知見と技術を横断的に共有する場となりました。
■② 「消防士の安全第一」を軸とした現場認識
基調講演では、「火を知り、命を守る ―火災現場で生き抜く力-」をテーマに、火災現場における状況認識・評価・安全確保の重要性が語られました。救助を成立させる前提条件として、隊員自身の安全を最優先に置く考え方が改めて強調されました。
■③ 殉職・受傷事故データが示す現実
全国47消防本部を対象とした調査分析により、火災出動時の殉職・受傷事故の発生傾向が明らかにされました。事故は偶発ではなく、一定の条件や行動パターンが重なることで発生することが示され、データに基づく安全対策の必要性が共有されました。
■④ 現場発のリアルな救助対応事例
全国から選ばれた消防職員による事例研究発表では、実際の火災現場における救助対応、屋内進入時の安全対策、セルフレスキューの取り組みなど、現場経験に裏打ちされた知見が紹介されました。
■⑤ 人材育成としての救助訓練の再設計
FFSやRIC/Tをツールとした育成、検索技術の基本と応用など、救助技術を単なる技能ではなく「判断力」として育てる訓練手法が示されました。訓練は実災害を想定し、失敗を前提に組み立てる重要性が語られています。
■⑥ 大規模・特殊建物火災への対応力
公営団地や大規模建物火災を想定した救助方法、RIT体制構築の実例など、建物特性に応じた戦術と体制づくりが共有されました。救助活動は建物条件と切り離せないことが改めて示されています。
■⑦ 総合討論で浮き彫りになった共通認識
講演者・発表者による総合討論では、「安全を最優先する警防体制」「隊員が戻ってくることを前提にした救助」という共通認識が確認されました。救助の成功は、結果ではなくプロセス管理にあるという視点が印象的でした。
■⑧ 救助力向上は防災力そのもの
火災時の救助活動能力向上は、単に技術を磨くことではなく、組織としての安全文化を育てることです。今回のシンポジウムは、全国の消防が同じ課題意識を持ち、未来の事故を減らすために動と言える重要な一歩でした。

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