冬は林野火災（山火事）が最も発生しやすい季節です。
雪がない地域では特に危険で、わずかな火種が
山全体を焼き尽くす大規模火災へ発展することもあります。
● 空気が乾燥
● 落ち葉が大量
● 枯れ草が燃えやすい
● 強風で火の粉が飛ぶ
● 斜面で火が一気に上昇
冬独特の条件が揃うと、わずか数分で火勢が爆発的に強くなります。
ここでは、防災士の視点から
冬の大規模林野火災の特徴、原因、地域と家庭ができる対策を解説します。
■① 冬の林野火災は“最も燃え広がりやすい”
冬の山は、水分をほとんど含んでいないため
落ち葉・枯れ草・枯れ木が一気に燃える地形が多い。
● 斜面 → 火が上りやすい
● 尾根 → 風が集まりやすい
● 谷間 → 風道になり炎が伸びる
● 落ち葉 → 長距離を高速で延焼
風速5m以上では、火の粉が100〜300m飛ぶケースもあります。
■② 冬の山火事の“主な原因”
ほとんどが人為的（人の行動が原因）です。
● たき火の不始末
● 枯れ草焼き（野焼き）
● たばこのポイ捨て
● バーベキュー
● 林業・農作業での火の取り扱い
● 電線のショート
● 車の排気熱による落ち葉への着火
冬は一度火がつくと乾燥 × 強風で爆発的に延焼するため危険。
■③ 冬の林野火災が“大規模化”しやすい理由
●① 乾燥で可燃物が大量
短時間で火が広がる。
●② 地形（斜面）で火が加速
火は上へ上へと進むため、斜面の火災は“秒速”で拡大。
●③ 消防車が近づけない
山間部は道路が細く、
消火栓も少なく、放水までに時間がかかる。
●④ 風による“飛び火”が広範囲へ
100〜300m先の住宅地へ飛び火する事例もある。
●⑤ 夜間は消火が困難
冬は日没が早く、暗い中での消火が遅れる。
■④ もし山火事が起きたら、一般の人が絶対やってはいけないこと
● 山へ近づく
● 写真・動画を撮りに行く
● たき火の消火を素人が試みる
● 炎の下側（下山方向）に逃げる
斜面では炎が瞬間的に覆いかぶさる「巻き上がり」が起き、
煙で視界がゼロになるため極めて危険。
■⑤ 住民ができる“冬の林野火災対策”
●① 家の周囲の落ち葉・枯れ草を除去
家の外周2〜3mを“火がつかない空間”にすることが最重要。
●② 雨樋・屋根にたまった落ち葉を掃除
火の粉が落ち葉に乗ると、瞬時に屋根が燃える。
●③ ベランダ・庭の可燃物を減らす
● ダンボール
● 植木鉢の枯れ葉
● 古い木材
● キャンプ用品
“飛び火で燃えるもの”を置かない。
●④ 野焼き・たき火を絶対に放置しない
冬の野焼きは「放ったら即、大火災」。
●⑤ 林野火災の多い地域は“非常持出袋”を玄関に
山火事は急に迫るため、即避難が基本。
■⑥ 自治体・消防の冬季体制
消防は冬季に以下を強化します。
● 林野火災パトロール
● 消防団の見回り
● ドローンでの監視
● 航空隊（ヘリ）の準備
● 水利点検（防火水槽・池）
山火事は初動5分〜10分が勝負のため、
住民と消防の早期通報が命を守る鍵。
■⑦ 冬の林野火災で“住民が覚えておくべき避難基準”
●① 炎が見えなくても“煙が低く広がったら”危険
煙は谷に沿って流れるため、先に住民側へ来る。
●② 風下（煙の方向）へ絶対逃げない
風下 = 火が向かってくる方向。
●③ 斜面の上へ逃げない
火は上へ加速する。
●④ 避難するなら“横方向”
斜面を横に逃げるのが最も安全。
■まとめ
冬の大規模林野火災は、
気象と地形が重なることで“最速で火が広がる”危険な災害。
- 冬は乾燥＋落ち葉で火災が爆発的に拡大
- 主な原因は人為的（たき火・野焼き・タバコ）
- 風で火の粉が数百メートル飛ぶ
- 住民ができる対策は“可燃物の排除”が最重要
- 避難は“横方向”が安全
- 消防は冬季にパトロール・監視を強化
山火事は“最初の行動が命を守る”。
冬こそ、家庭ごとの小さな火災対策が大規模災害を防ぎます。
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