近年、全国各地で山火事(森林火災)が増えています。
乾燥・強風・気温上昇の影響で、わずかな火種が巨大火災に発展するケースも多く、
避難・煙・火の回りの早さなど、一般の火災とは性質が全く異なります。
ここでは、防災士の視点から
山火事の特徴・危険性・市民が取るべき行動・家庭でできる備えをまとめて解説します。
■① 山火事は“想像を超えるスピード”で拡大する
山火事の火は、平地より圧倒的に早く広がります。
● 下草 → 低木 → 高木へ一気に延焼
● 斜面では上方向へ急激に拡大
● 乾燥した山では火の粉が数百メートル飛ぶ
● 風に乗って“点火 → 飛び火 → 点火”を繰り返す
特に強風時は、
人が走って逃げても追いつかれるスピードで広がることも。
■② 山火事の“煙”は火より先に命を奪う
山火事では、火そのものよりも“煙”が先に襲ってきます。
煙の危険性:
● 一酸化炭素中毒
● 低酸素
● 方向感覚の喪失
● 刺激物質による咳・窒息
平地の火災と違い、逃げる方向を間違うと
煙の谷に入り込み 視界ゼロになることも。
■③ 市民が取るべき行動(実際に火事を見つけたとき)
山火事を見つけたら、まずやることは1つ。
119番通報(場所を正確に伝える)
山火事は初期消火が難しいため、
市民が水を持って近づくのは危険です。
通報時のポイント
● 山の名前
● 近くの施設・道路
● 煙の色・量
● 風の強さ
消防・自治体・警察・ヘリコプターが連携し、
一気に初動体制を整えてくれます。
■④ 山火事の発生要因
山火事の多くは“人の不注意”。
● たき火の不始末
● バーベキューの火
● タバコのポイ捨て
● 火を使った作業
● 車の熱(マフラー付近)
● 落雷(割合は少ない)
特に、強風×乾燥の日は火災リスクが最大。
■⑤ 避難のポイント(絶対に覚えておきたい)
山火事が迫るときの避難は、構造火災と違う。
●① 火の進行方向の“横方向”に逃げる
火の進行と“垂直”の方向へ逃げるのが正解。
火に向かって逃げるのはNG。
●② 斜面の上方向には絶対に逃げない
火は上昇するほど加速します。
山火事の逃げ道は
下方向 or 水辺。
●③ 低い場所・開けた場所へ移動
・河川敷
・道路
・広場
・駐車場
などに逃げる。
●④ 煙を避けて、口・鼻を覆う
ハンカチ・タオル・衣類でOK。
■⑥ 山火事に備えて“家庭でできる備え”
山火事は都市郊外・里山地域でも発生します。
家庭でできる備えは次の通り。
●① 家周りの枯れ草・落ち葉を掃除
火の粉が落ちても燃えにくくなる。
●② プロパンガス・車を家に寄せすぎない
延焼の危険が下がる。
●③ 近隣の避難場所・避難ルートを把握
山火事は道路封鎖が起こるため
複数のルートを知っておく。
●④ ベランダ・庭に燃えやすい物を置かない
プラ箱・紙類・アウトドア用品など。
●⑤ 緊急情報アプリを導入
・まもるくん
・キキクル
・Yahoo防災速報
・Lアラート
これだけで危険が数時間早く分かる。
■⑦ 山火事の消火では“空の消防力”が大活躍
山火事の消火は、地上部隊だけでは限界があります。
活躍するのが
● ヘリコプター
● ドローン
● 航空隊
による空中消火。
● 上空からの水・薬剤投下
● 延焼方向の封じ込め
● 火の回りの予測
● 捜索も同時に実施
近年はドローンも導入され、
より正確な情報収集が可能になっています。
■まとめ
山火事は“スピード・煙・地形”の3つが危険。
対策を知っていれば、命を守れる確率が大きく上がります。
- 山火事は人が走るより早く広がる
- 通報が最大の初動対応
- 風・煙を最優先で判断
- 避難は火の横方向へ
- 家周りを日頃から防火管理
- 山火事は空と地上の連携で戦う
自然の中の火災ほど危険なものはありません。
正しい知識を持って、山火事から確実に身を守りましょう。

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