【防災士が解説】「防災 × 山岳遭難」── 年間3,000件超の“身近な災害”から命を守る方法

山岳遭難は、地震や豪雨のような大規模災害より
“発生件数が多い”非常に身近な災害です。

特にここ数年は
● 登山ブーム
● ソロ登山
● 低山ハイキングの人気
などで初心者の遭難が急増。

遭難は「山を甘く見ること」で起きます。
防災士として、初心者でも実践できる安全対策をまとめます。


■① 山岳遭難は“低山”ほど多い

実は、富士山や北アルプスより
標高300〜900mの山で遭難が多い。

理由:
● 都市近郊でアクセスしやすい
● 装備が軽装になりがち
● 迷いやすい尾根・谷が多い
● 気象が変わりやすい

「低い山だから大丈夫」は絶対にNG。


■② 遭難の6割以上は“道迷い”

山岳遭難の内訳は…

● 道迷い:6割
● 転倒・滑落:2〜3割
● 疲労・体力低下:1割
● 病気・天候悪化:その他

道迷いが圧倒的多数。

スマホのGPSがあっても
電波が無い・バッテリー切れで簡単に詰む。


■③ 遭難は“天候”で一気にリスクが上がる

山の天気は平地と別物。

● 急な霧
● 午後の雷雨
● 強風で立てない
● 気温が10℃以上急落

特に冬〜春は低体温のリスクも大きい。

山の天気は
「晴れ予報でも変わる」と覚えておく。


■④ これだけは持つべき基本装備

初心者でも、最低限これだけは必須。

● ヘッドライト(最重要)
● モバイルバッテリー
● 水・行動食
● 防寒着(レインウェア含む)
● 地図・コンパス
● ファーストエイド
● クマよけ(地域による)

ヘッドライトが無いと
日没=即遭難に繋がる。


■⑤ “家を出る前の準備”が最強の防災

山の防災は、出発前に8割決まる。


●① 登山届を出す

・コンパス
・ヤマレコ
・警察の登山届サイト
で簡単に提出できる。

→ 遭難時の捜索が“数時間早まる”。


●② ルートと危険箇所を調べる

ネットの口コミは超重要。

● 崩落
● クマ目撃
● ぬかるみ
● 雪渓
● 崖

事前チェックで危険を回避できる。


●③ 下山時間を“30〜60分早め”に設定

初心者は予定通りに歩けない。
余裕のスケジュールが命を守る。


■⑥ 遭難しそうになったら“やってはいけない3つ”

遭難は、間違った行動で悪化します。


●① むやみに動き回る → NG

歩けば歩くほど深い谷に落ちる可能性が増える。


●② 焦って走る → 転倒・滑落

救助要請が遅れる原因にもなる。


●③ スマホを使いまくる → 電池切れで詰む

電波を探す動作だけで大量に電池を消耗する。


# ■⑦ 遭難しそうなときの“正しい行動”

●① すぐに“現在地の特定”

GPSは圏外でも動くことがほとんど。
位置を確定してから動く。


●② 早めの119番 or 登山アプリのSOS

通報は早ければ早いほど助かる。


●③ 風の当たらない場所で体温を守る

● レインウェア
● 防寒着
● アルミシート
で熱を逃がさない。


●④ 日没前に行動を終了

暗い=一気に危険が3倍。
早めに安全地帯に退避する。


■⑧ 山岳救助の現場では“ヘリ・ドローン”が大活躍

山岳救助は地上部隊だけでは限界がある。

● ヘリでの空中捜索
● ドローンでの位置特定
● 赤外線で夜間捜索
● 山岳救助隊のロープ展開

近年はドローン導入で救助スピードが向上。
「早期通報」が助かる最大の鍵。


■まとめ

山岳遭難は“誰でも起きる災害”。
知識・装備・判断で確実にリスクを下げられる。

  1. 低山ほど遭難が多い
  2. 道迷いが最大の原因
  3. 天候急変が命取りになる
  4. 必要装備(特にヘッドライト)は必須
  5. 登山届とルート調査が最強の防災
  6. 遭難しそうなら動かない・早めに通報
  7. 救助は空×地上の総力戦

山の防災は「準備がすべて」。
正しい知識が、あなたと家族の命を守ります。

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