【防災士が解説】「KYT」とは?── 危険を“予測して回避する力”を身につける最強の安全トレーニング

KYT(危険予知トレーニング)は、
消防・建設・医療・学校・企業など
あらゆる現場で使われる「事故ゼロ」を目指すための手法です。

一言で言えば…

“起こる前に危険を見抜き、行動を変える訓練”

KYTは防災にも、日常生活にも、子どもの安全教育にも使える
“万能の安全スキル”です。

ここでは、防災士の視点で
KYTのポイントと使い方をわかりやすく解説します。


■① KYTとは?

KYT=危険予知トレーニング(Kiken Yochi Training)

現場に潜む危険をあらかじめ読み取り、
● 認識する(気づく)
● 評価する(どれくらい危険か)
● 対策する(どう避けるか考える)
というプロセスを班やグループで行う安全活動です。


■② KYTが必要な理由

事故の約8割は
「気づけたはずの危険」によって起きています。

● 忙しい
● 慣れている
● 少しぐらい大丈夫
● いつもやっている作業

この油断が事故の原因。

KYTはその“慣れ”をリセットし、
危険に敏感な状態をつくる効果があります。


■③ KYTの代表的な手順(4ラウンド法)


●ラウンド①:危険を指差す

絵や現場写真を見て
「どこに危険があるか?」
をメンバー全員で出し合う。


・電線のたるみ
・足元の段差
・可燃物の放置
・無防備な人の動き


●ラウンド②:最も重大な危険を選ぶ

出された危険の中から
“最も事故に直結しやすいポイント”を選ぶ。


・火の近くの可燃物
・車線への飛び出し
・脚立の不安定姿勢
など。


●ラウンド③:その危険に対する対策を出す

「どんな行動で危険を回避できるか?」
を全員で考える。


・可燃物を移動
・声かけ徹底
・立入禁止の表示
・安全装備の着用


●ラウンド④:行動目標の確認(指差呼称)

最後に
「こうする!」
と実際の行動を明確にし、指差して声に出す。


「よし!可燃物は離す!」
「よし!足元良し!」
「安全確認ヨシ!」

これで行動が習慣化される。


■④ KYTは防災にも非常に強い

KYTはもともと労災防止の技術ですが、
防災と相性が抜群に良い。


●地震時のKYT

・家具が倒れる場所は?
・夜間に逃げるルートは?
・家族で最も危ないのは誰?


●豪雨時のKYT

・水が溜まる場所は?
・暗渠や側溝は?
・避難開始が遅れる要因は?


●火災時のKYT

・可燃物はどこにある?
・煙が流れる方向は?
・避難経路が塞がれる場所は?


■⑤ 仕事・家庭・学校でも使える万能技術

KYTは職業に関係なく
「安全を守るための思考法」として非常に強力。


●家庭

・ストーブの周りの可燃物
・小さな子どもの誤飲リスク
・階段や浴室の転倒


●学校

・運動会の準備
・授業中の実験
・登下校の通学路


●職場

・電源の過負荷
・機械の挟まれ事故
・高所作業の落下
・通勤時の交通事故


■⑥ KYTの効果は“実行力がつくこと”

KYTの核心は
「危険に気づき、行動を変えられる人になること」。

● 危険を探す力
● 直す力
● 声を出す力
● 周りに注意を促せる力

これが身につくと、
事故率は劇的に下がる。


■まとめ

KYTとは、危険を予測し、行動で事故を防ぐトレーニング。

  1. 危険を見つける
  2. 最も重大な危険を選ぶ
  3. 対策を考える
  4. 行動を明確にする(指差呼称)

防災・仕事・家庭・学校──
あらゆる場面で使える“安全の基礎技術”。
日常に取り入れるだけで、事故の可能性が大幅に減ります。

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