大規模災害が発生した際、地方公共団体は災害対応の中核を担います。
その機能を支える基盤の一つが「非常用電源」です。
過去の災害では、庁舎の停電により災害対策本部の運営や情報発信が滞り、
初動対応に深刻な影響が出た事例が少なくありません。
■① 非常用電源が業務継続に不可欠な理由
災害発生直後、地方公共団体には次の役割が集中します。
・災害対策本部の設置・運営
・避難情報の発令・住民周知
・被害状況の把握
・国・関係機関との連絡調整
これらはすべて「電力」が前提です。
停電は、自治体機能そのものを止めてしまいます。
■② 令和6年度調査で見えた現状
消防庁の調査によると、非常用電源の設置は着実に進んでいます。
・都道府県:47団体(100%)
・市町村 :1,689団体(97.0%)
一方で、課題も明確になっています。
■③ 課題① 稼働時間72時間の壁
災害時の業務継続には「最低72時間」の電源確保が重要です。
しかし、使用可能時間が72時間以上の市町村は、
約6割にとどまっています。
災害規模が大きいほど、
燃料調達や補給は困難になります。
■④ 課題② 水害・地震への備え
非常用電源があっても、
災害で使えなければ意味がありません。
調査では、
・水害対策実施率:市町村 約77%
・地震対策実施率:市町村 約91%
となっており、
浸水や転倒への備えが今後の重要課題です。
■⑤ 消防庁が求めている対応の方向性
消防庁は調査結果を踏まえ、自治体に対し次を要請しています。
・災害対策本部庁舎への早期整備
・最低72時間以上の稼働確保
・燃料備蓄と優先供給協定の締結
・浸水・地震に耐える設置対策
・職員への教育・訓練の実施
特に「燃料の確保」は、
平時からの備えが結果を左右します。
■⑥ 訓練と教育が“使える電源”を作る
非常用電源は、
設置しただけでは機能しません。
・誰が起動するのか
・どのタイミングで使うのか
・燃料はどこにあるのか
これを訓練で体に染み込ませておくことが、
災害時の確実な稼働につながります。
■⑦ 財政支援を活かした整備が重要
非常用電源の整備や機能強化は、
緊急防災・減災事業債の対象です。
・出力向上
・稼働時間延長
・浸水・耐震対策
財政措置を活用し、
「止まらない庁舎」を作ることが求められます。
■⑧ まとめ:電気は行政のライフライン
非常用電源は、
住民の命を直接守る装備ではありません。
しかし、
自治体が動き続けるための“命綱”です。
・72時間以上動く
・災害に耐える
・確実に起動できる
この三点を満たす非常用電源整備が、
地域の防災力を根底から支えます。
業務継続性の確保は、
結果的に住民の安心につながります。

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