高知県が進めている「一県一消防(消防広域化)」は、当初予定されていた発足時期を見直し、2034年度までの運用開始を目標とする新たなスケジュールで進められています。
人口減少・消防力の維持・指令業務の高度化といった全国共通の課題を背景に、高知県は“時間をかけた段階的統合”という現実的な道を選択しました。
■① 高知県「一県一消防」とは何か
高知県内にある15の消防本部を1つの消防組織に統合する構想が「一県一消防」です。
狙いは以下の点にあります。
・人口減少下でも消防力を維持する
・指令業務の共同化による効率化
・人材・装備・教育の集約による質の向上
全国的にも注目される大規模な消防広域化の一例です。
■② 発足時期は2034年度まで後ろ倒し
当初は2028年度発足が想定されていましたが、
現在は最長で2034年度まで延期する方針が示されています。
理由としては、
・市町村議会での合意形成に時間がかかる
・人事・勤務制度調整の難しさ
・指令システム更新時期との整合
など、実務的な課題が大きいためです。
「急がず、無理をしない」判断と言えます。
■③ 2025~2027年度が実務の山場
発足は先でも、準備はすでに始まっています。
主な動き
・2025年度:消防広域化基本計画の策定
・2027年度:実施計画の策定(当初予定から1年延期)
この期間に、
・組織設計
・人事・階級構成
・勤務制度・労務条件
・財政負担の考え方
といった、現場に直結する制度設計が具体化していきます。
■④ 指令システム共同化が先行する
広域化の中核となるのが消防指令システムの共同化です。
・2033年度末までに全県で再整備
・2034年度から共同運用開始
高知市・土佐市など既存システム更新時期と合わせながら、
「まず指令を一つにする」という段階的アプローチが取られています。
■⑤ 一斉統合だけでなく「段階統合」も選択肢
検討資料では、以下のような複数パターンが示されています。
・全県一斉統合
・方面別に段階統合(令和10年・13年・16年など)
市町村ごとに参加時期を調整する余地を残しており、
現実的で柔軟な設計と言えます。
■⑥ 協議体制は「任意協議会」からスタート
法定協議会の前段として、
・有識者
・市町村長
・実務担当者
による任意の実務協議会が設置される予定です。
2026年度以降、実施計画素案の具体化が進む見込みです。
■⑦ 現場・職員目線で重要なポイント
実務者の立場から特に重要なのは次の点です。
・制度設計は2025~2027年度に集中する
・指令共同化は勤務・体制に直結する
・段階統合の選択次第で現場負担が変わる
このため、2026~2027年度の協議会・パブリックコメントは極めて重要な局面になります。
■⑧ まとめ|「時間をかける広域化」という選択
高知県の一県一消防は、
・発足を急がず
・指令共同化を先行させ
・段階統合も視野に入れる
という、全国でも参考になる進め方です。
消防広域化は「制度」ではなく、
人・現場・地域をどう守るかの問題です。
2034年度というゴールに向け、
これからの数年が、実は最も重要な準備期間と言えるでしょう。

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