スーパーアンビュランスは、通常の救急車では対応できない大規模災害・多数傷病者発生事案において、現場そのものを「医療拠点化」するために運用される特殊救急車です。
特に、東京消防庁 第二消防方面本部 消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)に配備されているスーパーアンビュランスは、日本の消防・救急体制の中でも極めて特異な存在です。
■① スーパーアンビュランスの位置づけ
東京消防庁のスーパーアンビュランスは、
特殊救急車Ⅱ型
として位置づけられ、
・大規模災害
・多数傷病者発生
・無差別事件・大規模事故
において、現場救護所として機能する車両です。
単なる「医師同乗型救急車」ではなく、
“動く臨時医療施設”
という性格を持っています。
■② 配備部隊と運用主体
配備先は、
・東京消防庁
・第二消防方面本部
・消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)
です。
ハイパーレスキューの中でも、
大規模・特殊災害対応の切り札として位置づけられています。
■③ 車両の最大の特徴|拡幅構造
スーパーアンビュランス最大の特徴は、
車体が拡幅する構造です。
・ベース車両:いすゞ・ギガ
・両側車体がモーター+チェーンで展開
・ジャッキ不要の自己保持構造
拡幅後は、
・最大 約40㎡の医療空間
・最大8床を同時展開
が可能となります。
■④ 搭載される医療・救護設備
車内には、災害医療を前提とした設備が搭載されています。
・重症者対応ストレッチャー
・無影灯
・大量酸素供給設備
・医療用照度を確保した照明
・大型冷蔵庫(医薬品・輸液管理)
これにより、
トリアージ後の重症者処置を現場で実施できます。
■⑤ 現場救護所としての役割
スーパーアンビュランスは、
・現場に即席医療拠点を設置
・重症者の応急処置
・搬送前治療
・患者の一時収容
を担います。
災害時に問題となる
「病院が遠い」「搬送が追いつかない」
という状況を補完する存在です。
■⑥ 過去の実戦投入事例
スーパーアンビュランスは、実際の重大事案で投入されています。
・京王線刺傷事件
・秋葉原通り魔事件
・大規模火災・事故
・G7サミット等の警戒警備
単なる訓練用ではなく、
実戦投入される車両です。
■⑦ 情報・後方支援機能
車内には、
・情報管理室
・独立電源(発電機)
が備えられており、
・長時間活動
・単独運用
が可能です。
これは、災害現場で
「他の支援がすぐに来ない」
状況を想定した設計です。
■⑧ 現行車両の概要
現在運用されている車両は、
・平成30年(2018年)配備
・4代目スーパーアンビュランス
・東京都内全域出動対象
・現存1台のみ
という非常に貴重な存在です。
■⑨ 法的な位置づけと注意点
スーパーアンビュランスという名称は、
・消防法
・救急救命士法
に明確な定義があるわけではありません。
あくまで、
・東京消防庁独自運用
・特殊救急車Ⅱ型
として位置づけられています。
■⑩ 現場経験から見たスーパーアンビュランス
元消防職員の視点で言えば、
・「来た瞬間に現場の空気が変わる」
・「医療が前に出る」
・「指揮と救護が一気に安定する」
車両です。
一方で、
・台数が極端に少ない
・全国的には配備が困難
という課題も明確です。
■⑪ まとめ|日本の災害医療の象徴
スーパーアンビュランスは、
・通常救急の延長ではない
・災害医療を前提とした存在
です。
「助ける場所を運ぶ」
という思想を、最も具現化した車両。
それが、
東京消防庁 ハイパーレスキューの
スーパーアンビュランスです。

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