災害時の調理手段としては、カセットコンロが最も知られていますが、
実は「固形燃料」も条件次第で有効な選択肢になります。
ここでは、災害時における固形燃料の位置づけと、現実的な使い方・注意点を防災士の視点で整理します。
■① 結論|固形燃料は「補助的な熱源」として有効
結論から言うと、固形燃料は、
・少量の湯沸かし
・簡単な加熱調理
・非常時の最終手段
として有効ですが、主力の調理熱源にはなりにくいという性質があります。
「ガスが尽きたときの保険」「最低限の火」という位置づけが現実的です。
■② 固形燃料とは何か
固形燃料とは、主に以下のようなものを指します。
・アルコール固形燃料
・旅館の卓上コンロで使われる燃料
特徴は、
・軽量
・保存しやすい
・着火が簡単
という点です。
■③ 災害時に評価できるメリット
固形燃料の強みは以下の点にあります。
・電気不要
・ガス不要
・構造が単純で故障しない
・長期保存が可能
特に、ライフラインが完全停止した初期段階では、「火が使える」というだけで大きな安心材料になります。
■④ できること・できないこと
固形燃料で「できること」は限定的です。
できること
・コップ1杯〜2杯程度の湯沸かし
・レトルト食品の温め
・缶詰の加熱
難しいこと
・家族分の調理
・炊飯
・連続調理
燃焼時間は1個あたり15〜25分程度が一般的で、火力は強くありません。
■⑤ 在宅避難での現実的な使い方
在宅避難では、以下のような使い分けが有効です。
・主力:カセットコンロ
・補助:固形燃料
例えば、
・ガス残量を節約したい
・1人分だけ温めたい
・早朝や深夜に静かに使いたい
といった場面では、固形燃料が役立ちます。
■⑥ 注意点①|換気と一酸化炭素
固形燃料は小さくても燃焼器具です。
注意点として、
・必ず換気を行う
・密閉空間では使わない
・就寝中は使用しない
一酸化炭素中毒のリスクは、規模に関係なく存在します。
■⑦ 注意点②|転倒・火災リスク
固形燃料は、
・炎が見えにくい
・風に弱い
・安定性が低い
という弱点があります。
必ず、
・専用コンロや五徳を使用
・耐熱・不燃の場所で使用
・周囲に可燃物を置かない
という基本を守る必要があります。
■⑧ 備蓄量の目安
固形燃料は主力にならないため、少量備蓄が適切です。
目安としては、
・1人あたり5〜10個程度
「使い切り前提」で、定期的に入れ替えるのが理想です。
■⑨ 固形燃料と相性の良い備え
固形燃料と組み合わせると実用性が上がるものは、
・小型クッカー
・金属マグカップ
・アルミホイル
・耐熱シート
いずれも軽量で、避難リュックにも収まります。
■⑩ まとめ|固形燃料は「最後の火」
固形燃料は万能ではありませんが、
・壊れない
・軽い
・保存しやすい
という点で、災害時の「最後の火」になり得る存在です。
主力に期待せず、
補助・保険として静かに備えておく。
それが、固形燃料と上手に付き合う防災の考え方です。

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