【防災士が解説】防災×あびき(副振動)|春先に注意すべき海の異変と備え

春にかけて、九州沿岸を中心に注意が必要なのが「あびき(副振動)」です。普段はあまり知られていませんが、港湾や沿岸部では浸水や船舶被害につながることがあり、実際に被害事例も確認されています。ここでは、防災の視点から「あびき」の仕組みと、私たちが取るべき行動を整理します。


■① あびき(副振動)とは何か

あびきとは、気圧の急変や遠方の気象擾乱などをきっかけに、湾や港で潮位が周期的に大きく上下する現象です。津波とは異なり地震が原因ではありませんが、短時間で急激な潮位変化が起こる点が特徴です。


■② 春先に発生しやすい理由

春は低気圧や前線の通過が増え、気圧変動が大きくなります。この影響で副振動が発生しやすくなり、特に九州北部や西日本の港湾で注意が必要な時期となります。


■③ 想定される主な被害

あびきによって想定される被害は以下のとおりです。
・港や岸壁の浸水
・係留船舶の流失、転覆、衝突
・港湾施設や浮桟橋の破損
・岸壁付近での転倒・落水事故

穏やかな天候でも突然起こるため、油断しやすいのが特徴です。


■④ 気象台が発表する情報の重要性

福岡管区気象台では、あびきによる被害のおそれがある場合、潮位情報や高潮警報・注意報を発表します。これらは「高潮=台風時だけ」と思われがちですが、あびきも対象となるため、沿岸部では必ず確認が必要です。


■⑤ 沿岸・港湾関係者が取るべき行動

港や漁港を利用する方は、次の点を意識してください。
・船舶の係留ロープを再確認・補強
・岸壁付近での作業を控える
・異常な潮位変動を感じたら早めに離れる

特に夜間や早朝は気づきにくいため、事前の情報確認が重要です。


■⑥ 一般の人が注意すべきポイント

釣りや散歩、写真撮影などで港に近づく場合も注意が必要です。
・海面が急に上下する兆候があればすぐ離れる
・立入禁止区域や岸壁の縁に近づかない
・警報・注意報発表時は海に近づかない

「波がない=安全」ではない点が、あびきの怖さです。


■⑦ 現場経験から見た見落としがちなリスク

現場では、「天気が良いから大丈夫」「地震じゃないから安心」という思い込みが事故につながるケースがありました。あびきは静かに始まり、急激に潮位が変わるため、逃げ遅れのリスクが高い現象です。


■⑧ 今日からできる最小行動

・沿岸部に住んでいる、利用する人は潮位情報の確認を習慣化
・春先は高潮警報・注意報の意味を再確認
・家族や職場で「あびき」という言葉を共有しておく

知っているだけで、被害を避けられる可能性は大きく高まります。


あびきは知名度が低い一方で、確実に被害をもたらす自然現象です。気象情報を正しく受け取り、海に近づく行動を少し見直すことが、防災につながります。

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