【元消防職員が解説】冬に急増する「誤嚥(ごえん)事故」── 高齢者だけでなく子どもも危険。寒い季節に起こりやすい理由と予防策

冬は、救急現場で 誤嚥(食べ物や唾液が気道に入る事故) が最も増える季節です。
窒息は“静かに”進行し、数分で命に関わるケースもあります。

ここでは、冬の誤嚥事故が増える理由と、家庭でできる安全対策をまとめます。


■① なぜ冬は誤嚥が増えるのか?


● 1. 乾燥で「飲み込み力」が落ちる

暖房で喉が乾燥 →
食べ物が飲み込みづらくなり、誤嚥しやすくなる。


● 2. 寒さで筋力が低下

寒いと
● 口の動きが鈍る
● 舌の動きが遅くなる
ことで、飲み込みに悪影響。

高齢者に特に多い。


● 3. 年末年始の食事(餅・団子など)

冬は
● 餅
● 団子
● お雑煮
● もち米おこわ
など“高リスク食品”を食べる機会が増える。


● 4. 早食い・ながら食べ

鍋や温かい料理で食卓が盛り上がると、
話しながら早口で食べ、誤嚥事故が起きやすい。


● 5. 体調不良で飲み込みが弱くなる

風邪・発熱・咳でも誤嚥は起こります。


■② 冬に多い誤嚥の事故例


✔ 餅を喉に詰まらせる

冬の窒息事故の トップ原因


✔ みかん・りんごなどの果物

高齢者・子どもに多い。


✔ 乾燥したパン・お菓子

水分不足で詰まりやすい。


✔ 食事中の笑い・会話での誤嚥

年末年始の家族団らん時に起きやすい。


■③ 家庭でできる誤嚥予防


✔ ① 食事前に“ひと口の白湯”

喉を潤すだけで飲み込みやすくなる。


✔ ② 姿勢を正す(最重要)

背中を丸めた姿勢は誤嚥の原因。
椅子に深く座るのがベスト。


✔ ③ 餅は「小さく」「よく噛む」

高齢者・子どもは特に注意。


✔ ④ 会話しながら食べない

飲み込む瞬間は口を閉じて集中する。


✔ ⑤ 食事を柔らかくする

・刻む
・とろみをつける
・汁物を添える
などで飲み込みやすくなる。


✔ ⑥ 高齢者には“食前の体操”が有効

● 首回し
● 舌を出す
● 口を大きく開く
● 深呼吸
などで飲み込み力が改善する。


■④ 窒息時の正しい対応


◎ 1. 声が出る → 咳をさせる

咳反射で異物を排出できる。


◎ 2. 声が出ない・息が吸えない

すぐ119通報
背部叩打法(はいぶこうだほう)


◎ 3. 反応がない

→ 心肺蘇生(胸骨圧迫)

誤った方法(口に手を突っ込むなど)は危険。


■⑤ 子どもの誤嚥は冬に特に多い


● みかん
● キャンディ
● ピーナッツ
● 蒲鉾(かまぼこ)
● ウインナー

冬は行事やごちそうが増え、事故が起きやすい。
必ず“大きさ”と“硬さ”を見直すこと。


■まとめ

冬の誤嚥は、
● 乾燥
● 寒さ
● 年末年始の食事
● 高齢者の筋力低下
が重なり、事故が急増します。

姿勢・喉の潤い・食材の工夫だけでも
誤嚥のリスクは大きく下げられます。

冬は「飲み込み力」を守ることが命を守ることにつながります。

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